「まだあくまでも予定の段階ですが、10月に行われる愛媛国体が終わった後で、納谷が大嶽部屋に入門することになります」
 8月23日に行われた東京・お台場巡業の会場で、埼玉栄高相撲部の山田道紀監督がこう明かした。

 優勝32回を誇った昭和の大横綱・大鵬の孫にして、関脇貴闘力の3男である納谷幸之介(17・埼玉栄高校3年)のプロデビューが決まった。今年10月、祖父が興した大鵬部屋が前身の大嶽部屋に入門し、11月の九州場所で初土俵を踏むことになったのだ。
 納谷は身長1メートル90センチ、体重160キロという恵まれた体を持ち、しかも、山田監督が「教え子の中でも3本の指に入る努力家。黙っていると何時間でも体を動かしている」という逸材だ。

 実力の方も、すでになかなかのもの。この日、お台場巡業の目玉として行われた幕下力士と埼玉栄高の選抜チームとの対抗戦に出場し、貴乃花部屋の有望株、21歳の貴健斗を堂々と寄り切って勝利した。
 「納谷は男ばかりの4兄弟に生まれ、長男は相撲を諦めてプロレス入りし、9月14日のリアルジャパン後楽園大会でデビューする予定です。次男の幸林(たかもり)は、もう少し実力をつけてから入門したいと中央大学に入学し、目下2年生。4男の幸成(こうせい)も埼玉栄高の相撲部でプロ入りを目指し、日夜稽古に励んでいます。その中でも素質は幸之介がピカイチ。どこまで祖父に近づけるか、早くも関係者の間で話題になっています」(担当記者)

 二世力士は大成しないと言われた時代も過去の話。人気大関だった貴ノ花の息子の若乃花、貴乃花が揃って横綱になったり、関脇栃東の息子の栃東が大関になった例もあり、以前ほどハードルは高くなくなった。大鵬を超えて優勝回数を39回まで伸ばしている白鵬は、3年前の九州場所で32回目の優勝をして史上1位タイになった際、こんな発言をしている。
 「(尊敬する)大鵬さんのお孫さんたちが相撲をやっている。角界入りして結びで相撲を取るというドラマがあれば、(引退しても)悔いのないことかもしれません」
 平成3年夏場所、横綱千代の富士が対戦を心待ちにしていた貴乃花(当時貴花田)に敗れて引退した。こんなドラマが、再び見られるのだろうか。

 今春の全国大会で優勝した納谷は「高校の先輩・豪栄道関のように幕内で活躍したい」と抱負を語った。
 果たして、偉大だった祖父のようになれるか。