「お客さまのなかには、1,000万円以上の貯金があるにもかかわらず、私から見ると過度に節約に励んでいる方もいます。理由を聞くと、将来に対して不安があり、お金を使うことはいけないことと感じていて、気がつくと買い物などにもストレスを感じるようになっていたそうです。私は“お金を使えない症候群”と呼んでいます。貯金はどんどん増えるわけですが、過度の節約は、人間関係にも悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要ですね」
 
そう語るのは、数多くのお金に関する相談を受けてきたファイナンシャルプランナーの山口京子さん。節約術に関する本が次々に発売されている現在。しかし、使わないことにこだわるあまり、幸せを壊す人が増えているという。離婚カウンセラーの岡野あつこさんはこう話す。
 
「不況も長引き、老後の生活への不安も募るなか、テレビや雑誌では、さまざまな節約特集を組んでいます。いっぽうで節約に熱中するあまり、人間関係まで破綻させてしまう“節約強迫症”ともいうべきケースも急増しているのです。“家族のために”と始めたはずの節約が、いつのまにか節約自体が目的となり、自分や家族を不幸にすることもあるのです」
 
“お金を使えない症候群”がさらに進行していくと、“節約強迫症”になってしまうという。そこで、専門家たちの意見を集約し、作成した“節約強迫症”のチェックリストを紹介。3つ以上当てはまったら要注意だ!
 
□買い物をした後に、なぜか罪悪感をおぼえる
□買い物で悩んだら必ず“安いほう”を選ぶ
□自動販売機で飲み物を買うのは負けだ
□定価で買うと損をした気がする
□旅行先でお土産を買うのは無駄だと思う
□ランチやお茶など、友人からの誘いが減った
□夫や子どもが無駄遣いするとすごく腹が立つ
□夫の小遣いは可能な限り削りたい
□「もっと肉が食べたい」など、家族に食事が不評
□病気になっても、できるだけ病院には行かない
□家族内で節約をめぐる口論が増えた
 
精神科医の高木希奈さんは、“節約強迫症”について次のように語る。
 
「強迫性障害になると、常に不安や恐怖にとらわれ、それを打ち消すために、無意味な行動を繰り返してしまい、日常生活にも支障をきたします。たとえば、最初はふつうに節約していただけなのに、次第にお金を使うことに不安を感じるようになります。さらにストレスがたまっていくなかで、家族など周囲にも節約を強要するようになっていくのです。頭では“ときどきなら無駄に使ってもいいのでは”と考えていても、不安がよぎり、節約をやめられないようになるわけです。真面目できちょうめん、完璧主義という人が強迫性障害になりやすいですね。人間関係が限られているせいもあるのか、特に20〜50代の主婦の方の患者さんも多いです」
 
この機会に、自分が“節約強迫症”予備軍になっていないか家族の意見を聞いてみてはいかがか。