犬伝染性肝炎の原因と感染経路

犬の感染症の中で、1歳以下の子犬の時に特に気をつけたい病気のひとつとして、犬伝染性肝炎があります。犬伝染性肝炎はアデノウイルス1型というウイルスに感染することで発症する病気です。

感染症というと鳥インフルエンザのように人間にも感染する感染症もありますが、犬伝染性肝炎は人間や他の動物には感染せず、イヌ科の動物のみに感染します。

感染経路としては、経口・経鼻感染といわれます。ウイルスは犬伝染性肝炎に感染した犬の唾液、尿、便などに含まれており、直接舐めたり、感染した犬が使用した食器で食事をしたりすることで感染します。

また、犬伝染性肝炎になった犬が回復した後も、アデノウイルスは腎臓に長期間存在し続けるため、約6~9か月間ほどは尿からウイルスが排出され続けます。

そのため、多頭飼いの家庭で犬伝染性肝炎にかかった犬が同居しているような場合には、感染した犬を隔離するなどの対応をとった方がよいでしょう。

犬伝染性肝炎の症状

犬伝染性肝炎の症状は4つに分類されます。それぞれどのような症状が起こるのかを調べてみました。

甚急性型

一見健康そうな子が、突然ひどい腹痛や高熱に襲われ、24時間から48時間以内に死亡するケースが多いのが特徴です。

急性型

1週間程度の潜伏期間の後、徐々に元気がなくなり腹痛、高熱、嘔吐、下痢などの症状が5日程度続きます。

また、肝炎という名前のとおり、肝臓が機能不全を起こす場合もあります。この場合、お腹を触られるのを嫌がるようになります。

さらには点状出血が皮膚にみとめられるなど出血が起きやすくなったり、時には神経症状をおこすケースも見受けられます。

その後回復傾向に向かいますが、その際に角膜がむくみ、青白く濁るブルーアイという症状が現れる場合もあります。

これは通常であれば自然に回復しますがまれに緑内障や角膜潰瘍を引き起こすこともあるため、このような症状が現れた後は注意深く観察を続けた方がよいでしょう。

軽症型

発熱、食欲不振、鼻水などの軽い風邪のような症状が見られます。軽症の場合、数日程度で回復します。

不顕性型

成犬の場合、犬伝染性肝炎に感染していても特に症状が出ないことがあります。症状が現れないため感染したことに飼い主が気付かず、他の犬の感染源になってしまうことがあります。

このように犬伝染性肝炎の症状といってもさまざまなケースがあります。

犬伝染性肝炎の致死率は成犬なら低いと言われていますが、子犬が感染し発症した場合には、死亡するケースが非常に高いと言われています。

そのため、1歳以下の子犬で特にまだワクチンをうっていない子は特に感染に気をつけたほうがよいと言えるでしょう。

犬伝染性肝炎の治療法

犬伝染性肝炎の治療法として有効なものは、今のところ見つかっていないようです。

そのため犬伝染性肝炎に感染した場合には、次のような方法で犬自身の体力や免疫力の回復を手助けします。

肝機能の回復を促す

肝臓の回復と症状の軽減を図るために、点滴を行ったりビタミン剤などを投与したりします。また出血がある場合には輸血を行うこともあります。

二次感染の予防

犬伝染性肝炎に感染すると、免疫力の低下によって他の感染症を併発したり、肺炎や腎盂腎炎にかかりやすくなったりします。

このような二次感染を予防するためには抗生剤の投与が有効だといわれています。

食事療法

肝機能の回復を促すためには、毎日の食事も大切になってきます。そのためには肝臓に負担がかからないような、消化の良い食事にすることも大切です。

どのような食事を与えたらよいのか、動物病院で聞いてみるとよいでしょう。

犬伝染性肝炎に最も重要なのは予防

前にお話ししたように犬伝染性肝炎に感染した場合、治療の特効薬は今のところありません。

しかし、犬伝染性肝炎を予防する方法はあるのです。

ワクチンを接種する

子犬は産まれてまもなくの間は、親から受け継いだ免疫があるために感染症などにはかかりにくくなっています。

しかし、時間が経つにしたがってその免疫も薄れてきます。免疫が薄れてきたときが犬伝染性肝炎などの感染症に最もかかりやすい時期なのです。

そこで、犬を迎え入れたら動物病院でワクチン接種について相談してみることをおすすめします。

犬伝染性肝炎は、混合ワクチンに含まれる犬アデノウイルス2型ワクチンを接種することで予防できると言われています。

犬の年齢などにより、ワクチンの接種回数や接種時期は異なります。

ワクチン接種の料金は動物病院によってさまざまですが、5000円から10000円程度と言われています。動物病院を受診した際に確認してみましょう。

しつけをきちんと行う

犬伝染性肝炎は感染した犬の尿や環境中から感染することが多く、特に症状が出ていない不顕性型の場合には、飼い主が知らないうちに感染源をばらまいている可能性もあるのです。

そのため、散歩中に他の犬の尿のにおいを嗅いだり、草むらの草を舐めたりしないように、きちんとしつけをしておくことも大切です。

さらに、飼い犬が知らないうちに感染していた場合を考えると、散歩中に排尿、排便をさせないようにしつけることも重要でしょう。

まとめ

犬伝染性肝炎は感染力が非常に強い感染症ですが、ワクチン接種を行うことで予防することができる病気です。

犬との楽しい時間を少しでも長く続けるためにもワクチン接種を行い、犬伝染性肝炎から愛犬を守ってあげましょう。


(獣医師監修:加藤桂子先生)