圧倒的な世界観が世界のクリエイターやアーティストに大きな影響を与えた、リドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔『ブレードランナー』。その人気は日本でも同様で、熱狂的なファンは、劇中の電光掲示板に表示された「強力わかもと」の文字や、ちらっと登場するだけの、屋台を営むおやじまで愛している。

 公開から35年、ついにその続編『ブレードランナー 2049』が公開される。このタイミングに合わせ、「日本初のシネマコンプレックス」チネチッタでは、オープン30周年を記念して、『ブレードランナー』ファンのためのスペシャルイベントを開く。

 開催地は、『ブレードランナー』の映画冒頭で、炎があがる都市の映像にインスピレーションを与えたといわれる、聖地・川崎である。この記事では、一夜限りの『ブレラン』プレミアムパーティーを含め、そこで予定されているイベントの内容を紹介していきたい。

■35年ぶりの新作『ブレードランナー 2049』&10年ぶり『ブレードランナー ファイナル・カット版』の劇場上映

 神奈川県川崎市、JR川崎駅から徒歩5分のチネチッタでは、新作『ブレードランナー 2049』を10/27(金)より上映するほか、今秋には、10年ぶりとなる『ブレードランナー ファイナルカット版』 の上映が予定されている。チネチッタ最大スクリーン、ライブホール並みの臨場感を体験できるというサウンドシステム『LIVE ZOUND』で上映される予定とのことなので、期待ができそうだ。

 『ブレードランナー』は、リドリー・スコット監督の意向のもと、いくつものヴァージョンで作り直されてきたが、公開25周年の2007年に作られた最後のヴァージョンが『ファイルカット版』であり、監督の意志が最も反映されたヴァージョンとなっている。この作品の、日本で10年ぶりとなる上映(全国5館限定)は、ファンにとって貴重な機会となるだろう。

■コレクションアイテムを集めた『ブレラン・ギャラリー』

 チネチッタ劇場ロビーでは、マニア垂涎のアイテムを集めた『ブレラン・ギャラリー』が開設。入館者は無料で鑑賞できる。

 目玉となるのが、”デッカードブラスター”のレプリカ「留之助ブラスター」の展示だ。デッカードブラスターとは、劇中でハリソン・フォード演じる主人公デッカードが使用していた近未来の銃である。今日までに様々なメーカーがそのレプリカを作成しているが、今回はそのレプリカモデルとしてマニアの間で名高い飛騨高山・留之助商店による「留之助ブラスター」の歴代モデルが並ぶほか、様々な国のバージョンのポスターやサントラCDなど、秘蔵アイテムをラインナップするそうなので要チェックだ。

■今回の目玉! 川崎臨海部でプレミアムパーティーを開催

 『ブレードランナー』の映画冒頭のモチーフとなったとされる、川崎臨海部の幻想的な工場夜景。現在も工場マニアや夜景のファンの間で、その未来的な夜景は評価が高い。そんな『ブレラン』の雰囲気をまとった光景に囲まれた”異空間”、川崎市臨海部・浮島内特設会場にて、今回のスペシャルイベント最大の目玉となる、一夜限りのプレミアムパーティーの開催が予定されている。日時は10/21(土) 17:30〜22:00(予定)。

 プレミアムパーティーに参加するには、クラウド・ファンディングサイト”CAMPFIRE”からの申し込みが必要となる。チケットは【早割10%OFFチケット】6,750円、【通常チケット】7,500円、【プレミアムチケット】18,000円、【Wプレミアムチケット】50,000円、【SSプレミアムチケット】1,000,000円の5タイプがあり、インターナショナル版非売品ポスター、オリジナルブラスターTシャツ、VIP待遇やリムジンでの送迎など、グレードによって特典や謝礼が増えていく。

 イベントゲストには、『ブレラン』マニアとして知られる映像ディレクター・西修一、『ブレラン』撮影現場に立会った唯一の日本人とされる映画ジャーナリスト・中子真治、映画ライター・高橋ヨシキ、さらにMCを映画コメンテーターのLiLiCo(リリコ)が担当する。

 『ブレードランナー』といえばヴァンゲリスの未来的なテーマ曲も印象的だが、楽曲のサンプリングを含め、音楽アーティストたちがそれぞれの感性によって作品世界を表現するライブパフォーマンスも行われる。出演者は、「東洋のテクノ・ゴッド」と呼ばれるDJ、KEN ISHII(ケン・イシイ)、ブレランファンを公言する☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)。東洋趣味を前面に押し出した『ブレードランナー』だけに、その影響をさらに東洋の側から表現し直すという試みが興味深い。

 スクリーンでは、『ブレードランナー2049』予告編や、秘蔵映像、気鋭の映像集団「MMM映像空間」による映像演出を観ることができる。わかもと製薬株式会社が協賛しているため、「強力わかもと」の映像が流れる可能性もありそうだ。

 また、ドリンクコーナーや、デッカードが立ち寄った日本食屋台を会場内に再現するという。「二つで十分ですよ」と、劇中の屋台のおやじに言わしめた”謎料理”が、果たして提供されるかが注目されている。

■なぜ『ブレラン』人気は衰えないのか

「『ブレードランナー』以降の近未来SF映画で、『ブレードランナー』を意識しない作品なんてあるのか」

 映画監督・押井守は、自身のアニメーション映画『攻殻機動隊』を含め、『ブレードランナー』公開後、世界中のSF映画がその強い影響下にあったと発言している。それは、『ブレードランナー』の表現を超える魅力的な近未来世界が、未だに創造されていないからだ。同作が提示した、酸性雨が降りしきるダークかつ退廃的な近未来(2020年)の光景は、それほど衝撃的に我々観客の心に残っている。

 『ブレードランナー』に根強い人気があり、公開から35年経っても続編が作られ、イベントが企画されるというのは、そのときだけの刹那的な人気ではなく、作品の表現自体が、まだ最前線の「現役」に居座っているからだろう。その息の長い熱狂や圧倒的な世界観を、『ブレラン』ファンの集う聖地・川崎のイベントに参加することで、ぜひ体感してほしい。(小野寺系(k.onodera))