かつての自分の姿を見せるアルディさん(画像はCNNの当該記事より)

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2010〜2011年ごろにユーチューブなどで、「smoking baby」などのタイトルの動画が話題になったことを記憶している人はいるだろうか。その内容はインドネシアの2歳の幼児が当然のようにタバコを吸うというものだった。

幼い子供が慣れた手つきで火をつけ、ひっきりなしにタバコを吸い続ける姿には世界中が衝撃を受けたようで、海外メディアからまとめサイト、掲示板までさまざまな場で取り上げられていた。

あれから6年が経った現在、あの時の幼児は禁煙治療を受け普通の子どもと同じように生活を送っていると2017年8月31日付のCNNが報じている。

1日に4箱は吸うヘビースモーカーだった

2歳で重度のニコチン中毒に陥っていたのは、インドネシア・南スマトラの小さな農村地帯に住むアルディ・スガンダさんだ。

CNNの取材に対し、アルディさんは「とても自分の意志でタバコをやめられる状態ではなかった」と振り返っている。母親も、

「息子からタバコを取り上げると、狂ったように泣き叫び頭を壁に叩きつけることもあった」

と壮絶なニコチン中毒の症状を証言していた。そもそもなぜタバコを吸うようになってしまったのか。

当時は両親に問題があるとする声もあったが、アルディさんの両親は非喫煙者だった。母親によると、毎日アルディさんを連れて市場で野菜を売りに行き、忙しい時には他の人にアルディさんを見てもらえるように頼むことあったという。母親は、「ひどい大人がアルディにタバコを吸わせたり、タバコを吸っている大人を見かけて興味を持ってしまったのではないか」と答えている。

そんなアルディさんだったが、動画を知ったインドネシアの国家児童保護委員会が児童心理学者であるセト・ムリヤディ博士に治療を依頼。5年以上禁煙プログラムに取り組み、1日に最低でも4箱は吸うほどだった重度のニコチン中毒から脱することができたという。

禁煙当初は離脱症状に苦しみ過食に陥ってしまい肥満になってしまったアルディさんだったが、現在ではランニングとロッククライミングを楽しむ活発な少年で、学校での成績も優秀。「病気になりたくない。もうタバコは吸いたくない」と話し、

「自分のように子どものころからタバコを吸っていた人が禁煙をする手助けをしたい」

とも語っている。アルディさんが成人しても喫煙を再開することがないかは断定できないが、少なくとも今は「完治」したと言えるだろう。

インドネシアのタバコ事情は深刻

アルディさんの例は極端かもしれないが、米がん協会が発表している世界の喫煙状況調査「The Tobacco Atlas」によると、東南アジアの国々の中でインドネシアの15歳未満の喫煙率は2015年時点で57%と、半数以上に達している。人口が多い中国でも45%、その他の国々では30%台だ。5〜9歳の男児の1.5%、女児の1.4%に喫煙経験があるという衝撃的なデータも出ている。

インドネシア保健省もこの問題を認識しており、同省のサイトでは未成年の喫煙者数が増加し続けていることに警鐘を鳴らすデータが掲載されていた。

日本ではタバコの規制が進みつつあるが、タバコが身近に存在し、近親者が喫煙をしていると子どもが興味を持ってしまうという問題はインドネシアに限定されるものではないだろう。自分の健康だけではなく、周囲や子どもに与えてしまう影響を考えなければいけない。