これまで250人以上の起業家たちのビジネス本を監修し、ときにゴーストライターとして彼らの言葉をつむいできたJeff Haden。今回「Inc.com」でまとめたのは、幸福度をUPさせるためのアプローチ法。

そんなものが存在する?かどうかは、まず読んでみてから。

8つのうち1つを実践するだけでも十分に幸せを感じられるとJeff。でも、どれも一筋縄にはいかないクセモノばかり。

01.
どんなにストレスフルでも
「新しいこと」にチャレンジ

少しくらいのストレスにも耐え抜くことさえできれば、長期的な幸せはあなたのもの。2009年に「Journal of Happiness Studies」に掲載された研究によると、新しいことを学ぶことはさらなる幸せを感じる手段である、と証明されているようです。

ある分野に対する知識を深めた被験者たちは、独立心も増し、周りとより深く繋がれたと報告。スキルを磨いている最中こそ幸福度が下がったものの、一時間ごと・日ごとに感じる「総合的な幸福度」は増したと回答しています。

そこでもっとも大事なのは、どのようなスキルを選び、どのような挑戦に立ち向かい、どのような機会をベースにして、居心地の良い環境から抜け出すか。幸福度を最大限に味わうためには、「学んでおくべきスキル」や「学ばないといけないスキル」を選ばず、学びたいスキルを選ぶことです。

02.
近隣住民たちと仲良くなる

これは人々の幸せを数世代に及んで調査したマサチューセッツ州、フラミンガムの「フラミンガム・ハート・スタディ」に基づくもの。

1948年初頭に行われた調査では、三世代に及ぶフラミンガム住民と、彼らの子孫を対象に「幸せがどのように蔓延するか」を調べたところ、出たのが下記の結果です。

・ひとりの幸せとは、複数の人に伝染する
・周りに幸せな人が多ければ多いほど、自分もポジティブになれる(悲しみという感情に同様は該当しない)
・物理的に距離が近い友だちや近所ほど、自分の幸せに影響をもたらす

さらに研究者たちは、被験者たちが近隣住民との関係性や距離感が、どう幸せに結びつくかを調査。結果を見て見ましょう。なお、一番幸せをもたらす人から順にリストアップしてあります。

1.近くに住む、お互いが「友だち」と認識できている間柄(これは、もはやランク外。彼らは148%ほど幸福度を増すことができるからです)
2.隣りに住む近所の人
3.近くに住む友だち (ここで言う「友だち」とは、参加者は「友だち」と見なしているが、相手は「友だち」と見なしていない関係)
4.近くに住む友だち(ここで言う「友だち」とは、相手は友だちと見なしているが、参加者は友だちと見なしていない関係)
5.近くに住む兄弟・姉妹
6.同居している配偶者
7.遠くに住む兄弟・姉妹
8.同居していない配偶者
9.同じ丁に住む近所の人
10.遠くに住む友だち

ちなみに、「近くに住む…」と記された人たちは、1マイル以内に住んでいる人を指しており、その他は「遠くに住む…」のカテゴリーに分類されていました。つまり、遠くに住んでいても相手に幸せをもたらすことはできますが、近くにいるほど人は感化されやすいという結果に。

03.
相反する感情を受け入れる

ここでは、F.W.オーリン工学大学の心理学者Jonathan Adler氏の言葉を借りましょう。

「満足する精神状態を保つことは、人生の複雑さを認めることにあるのかもしれません」

曰く、いいことと悪いことの両方を受け入れてこそ、幸せを感じられる。Adler氏は、自身の同僚であるHal Hershfield氏と共に「混合した感情」が幸せにどのような影響を及ぼすか、12週間に渡るセラピーと、セラピー前に記入するアンケートを通して研究に挑びました。

すると、嬉しい感情と落胆する感情を同時に感じている、とアンケートに記した人の方がセラピーを重ねていくにつれ、幸福度が増していったのです。たとえば、このようなシチュエーション。

「失ったものも多かったですが、これらを乗り越えていく過程に幸せを感じています。結果として、ポジティブな感情を生み出したいと思っています」

Adlerによると、意気消沈する出来事があったときは、いい面と悪い面の両方と向き合うことで精神とは安定するんだそう。

さらにHershfield氏は、10年と長期に渡り、この混沌とした感情が健康にどのような影響を与えるかを調査。すると、なんとこの二つには直接的な相関関係があることが判明したそうです。

それでも疑心暗鬼なら、ボストン大学の心理学者Shannon Sauer-Zavala氏の2012年の調査を見てみましょう。彼女の調査によると、不安障害を抱く参加者たちは、マインドフルネスに取り組むことで、様々な感情に触れることができ、結果精神の向上を図ることができたのだとか。

大切なのは、後ろ向きな考えもしっかりと受け止めること。それを踏まえた上で問題の改善に取り組みましょう。

04.
質の高いカウンセリングに
お金をかけてみる

お金で幸せを買うことはできるのでしょうか?

心理学者Chris Boyceが行った研究によると、むやみにお金を使うよりかは質の高いカウンセリングにお金をかけたほうが確実に幸せを得られると言います。Boyce氏は同僚と何千人ものデータをかき集め、急な昇給や宝くじに当たることと、カウンセリングを受けることのどちらがより幸福度を高めたかを調査しました。

お金とは与えられたほうが幸せになるのでしょうか。それとも、カウンセリングにお金を投資するほうが幸せになれるのでしょうか。その結果は、驚くほど明らかなものでした。

・お金で得る幸せよりも、カウンセリングに取り組む方が32倍ほど幸福度アップに効果的であった
・おおよそ400万円の昇給で得られた幸せは、カウンセリングに13万円かけるだけで得られたことが証明されている

カウンセリングとは、触れることのできない経験や人とのつながり、またはコミュニケーションの大切さを教えてくれるもの。これこそが、物やお金など「所有できるもの」に固執せず、幸せを見つけやすくなるひとつの手段なのだとか。

05.
「No」と「Not」の使い分け

「成功する人と、大きな成功を成し遂げている人の違いは、『ノー』を言えるかどうかにある」

ウォーレン・バフェットはそう口にしました。不幸への近道とは、働きすぎること、そして自分に負担をかけすぎることのふたつです。となると、幸せの近道は「No」と言えるかどうかにある、というのが彼の主張。

「No」のもっとも効果的な言い方は、「I don't (〜しない)」。なんでもこの返答は、「I can't (〜ができない)」よりも8倍ほど効果的なのだとか。さらには単純に「No」と返すことに比べても、「I don't」のほうが2倍ほど効果的とも。

「The Journal of Consumer Research」 は、この言い回しをもとに、複数の調査を行いました。そのうちのひとつを紹介します。まず、被験者を下記の3つのグループに振り分けました。

グループ1:対照群であったこのグループにはとくに戦略はなく、諦めに陥ったときは、「No」とリアクションするよう促されました。
グループ2:諦めに陥ったときは「Can't(〜できない)」という言葉を使ってリアクションするよう促されました。たとえば「ワークアウトを怠っては【いけない】(can't)」
グループ3:諦めに陥ったときは「Don't(〜しない)」の《言い切り》を使ってリアクションするよう促されました。たとえば「ワークアウトは【怠らない】」

その結果は以下。

・「No」を使用:目標完遂10人中3人
・「Can't」を使用:目標完遂10人中1人
・「Don't」を使用:目標完遂10人中8人(さらにこの8人は実験の期間10日間を毎日目標を達成)

これで「No」も、言い方によって効果が大きく変わることが明らかになったでしょう。

06.
「期待しない結果」も
つねに想定内に

Samurai(侍)がベストを発揮するために欠かせないのは、全力でトレーニングをすること、そして最悪のシチュエーションを想定しておくことだとか。

後者は「ネガティブの視覚化」とも呼ばれており、ストア主義に根付いています。この「ストア主義」の哲学を含むのが、Oliver Burkeman氏が「直感に反した幸せ」について記した本。Eric Barker氏とのインタビューにて、こう解説します。

「ストア哲学者たちが言う"予謀"。これは、ネガティブなシチュエーションを細かく想定すると落ち着きが手に入れられる、という思考です。私たちが抱く恐怖や不安とは、ほとんどの場合、大げさに物語っているものばかりだと気づくでしょう」

さらに、いくつかの結果を想定しておく利点として、「物事の主導権を握れること」が挙げられます。余談ですが、海軍特殊部隊たちは、つねに主導権を握っていられるよう、日々心理トレーニングを行っているそうです。

神経科学によると、トレーニングや視覚化を通して「コントロールを握っている錯覚」さえ維持できれば、脳は通常通り機能してくれるそう。

07.
好きなモノ、コトを
1日、2日断念する

「Barking Up the Wrong Tree」と名付けられたブログの著者であるEric Barker氏は、好きなことから距離を置くと、「当たり前」と化していたことに感謝できるようになると言います。

ここで試されているのは“自制心”。研究者たちが83の研究結果を見直した末、自制心とは日を重ねるにつれ、薄れていくことが明らかに。ですが、自制心とは筋肉と同じように、鍛え上げることもできるのです。つまり日々自制心を鍛えていくことで、自制心はどんどん磨かれていくということ。

ここでハーバード大学、マイケル・ノートン教授の素敵な考えを共有しましょう。

好きでたまらないことから一旦離れましょう。一旦断つことです。例えば毎日飲むコーヒーが好きな場合、数日間それを飲むのをやめてみてください。そうして別のものを数日飲んだのち、改めて大好きなコーヒーを飲んでみると、その美味しさが増して感じるはずです。もちろん大好きなコーヒーを毎日飲めたほうが、心も満足するでしょう。でも3日間空けて、ようやく飲めた大好きなコーヒーのほうが感動をそそるものです。

飲食を中断することはタダで出来ます。節約もできますし、実際の支出からより幸せを抽出できることでしょう。これはWin-Winのシチュエーションであるにも関わらず、私たちはなんだかんだ「欲張り精神」に邪魔されてしまうのです。けれど、なにも「一生断つ」わけじゃありません。短期間、それを断念するだけ。するともっと大きな愛を持ち、そのものに対して感謝することができるはずです。

毎日のコーヒー、Netflix、iPhoneにインストールしたゲーム…。好きなものは、たまの我慢でより感謝できるものへと変わるのです。

08.
いつでも「自分らしく」ある

「あなたには何だってできる」、そのような格言を一度は聞いたことがあるでしょう。でも作家のTom Rathは、若干視点を変えてこのアイディアを提示しています。

「今の自分を磨き上げることは、十分可能だ。持ち前の才能を全力で磨きあげれば、想像以上の成長が期待できる」

心理学者のPaul Pearsall氏はこれを「closure(閉合)」と、反する「openture(オープンチュア)」と呼びます。それは、自分の不完全なところを認め、強みを褒める行為を指す彼独自の言葉。

とある研究によると、自分に当てはまらない環境に無理やり入り込むことは、望ましくない効果を生み出すのだそう。極端な例ではありますが、ウォータールー大学のJoanne Wood教授が敢行した実験で、自信がない人に「私は愛されるべき人間」と復唱させたところ、逆に自信のなさが強調されてしまったのだそう。

「こうあろう」と無理しているがゆえに、幸せから遠のいているように感じるのであれば、「自分らしくいられるかどうか」という感覚を優先しなさい、とRath。自分が得意なことは褒めてあげて、自分を「自分らしく」させてくれる特徴を愛してあげる行為に、幸せは隠れ潜んでいるのです。

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