『十角館の殺人』(綾辻行人/講談社)

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 不可解な謎。助けの来ない隔離空間。論理的で鮮やかな推理ショー。小説の中に「新本格ミステリ」というジャンルが生まれてから今年で早30年になる。あなたはその端緒となった綾辻行人氏のデビュー作『十角館の殺人』(綾辻行人/講談社)をご存知だろうか。多くのミステリファンの心を揺れ動かし、時代を切り開いたこの小説を「新本格ミステリ30周年」という節目の今こそ手にとってほしい。

 舞台は十角形の奇妙な館「十角館」の建つ孤島、角島。大分K**大学・推理小説研究会に所属する7人は、島で起きた殺人事件への興味からこの島に1週間滞在することにした。十角館を建てた建築家・中村青司の自宅が全焼し、中村夫妻と使用人夫妻の他殺体が発見された半年前の四重殺人事件。その謎に迫るはずが、やがて学生たちは連続殺人に巻き込まれていく――。

 物語の終盤の、衝撃的な1行。大どんでん返し。「騙されていたのは自分だったのだ」という驚きと、疾走感。戦慄。読書メーターユーザーは、この刺激的なミステリをどう読んだのだろう。

あの1文に鼓動がバックバク!!!まさかの状況に驚愕しました。流石!!どんでん返しの綾辻行人さん!!あの1行を読んだ瞬間1回本閉じましたww(Dwarf)
大どんでん返し、見事にくらいました!気づけばページを捲る手が止まらない。トリックに脱帽。あー、気持ち良いくらい見事に騙されたー!!(キャラメル)
一人が首を絞められて、一人が毒を盛られて、一人が頭を割られて、一人また一人といなくなる。隠された仕掛け、そして誰もいなくなった孤島、たった一言で暗転する世界。一体いつから、騙されていたのか!(ちはや@灯れ松明の火)
「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせる舞台設定ながら、このパターンはこれ、と決めてかかると振り回されます。犯人が分かる1行に出会った時の衝撃と、その先のページが進む勢いと言ったら。ちょっと悔しいような気もするけど、変に推理せずに素直に振り回されながら騙されながら読むのが楽しいんじゃないかな。負け惜しみじゃないですよ。笑(ゆうき)
30年振りに再読しました。あの1行には分かっていながら鳥肌が立ちました。初読の方が羨ましい。こんなに衝撃的、かつ読み易い作品は無いですよ。ミステリー初心者の方、お若い方のレビューも多いですね、昔からのファンとしては嬉しい限りです。(森オサム)
トリックと文章表現を楽しむ、ただひたすらミステリを追求したミステリ。この作品が存在する時代に生まれ、出会うことができて本当に良かった。(みや@桃色日和)

 このミステリを読まないこと程、もったいないことなどあるだろうか。9月6日には限定愛蔵版が発売され、同書にはここでしか読めない、33名の豪華執筆陣によるエッセイ「私の『十角館』」が特別付録として付いてくる。あなたも多くの読書家ともに「あの1行」の衝撃を体感してみてはいかがだろうか。「新本格ミステリ」というジャンルを切り開いたこの小説は、今もなお多くの読書家たちに強い衝撃を与え続けている。

文=アサトーミナミ