これまで数々の暴言で処分を受けていたフォニーニ【写真:Getty Images】

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フォニーニは全米OPで約260万円罰金…グランドスラム委員会「皮肉にも常習者が経済的に貢献」

 テニスの全米オープンで、男子シングルス世界ランク26位のファビオ・フォニーニ(イタリア)が主審への暴言を理由に2万4000ドル(約260万円)の罰金に加え、大会の出場停止処分を言い渡された。気性が荒いことで知られる同17位のニック・キリオス(オーストラリア)ら他の選手も、ラケット破壊などコードバイオレーションに抵触するたび、罰金を支払っている。選手のみならず、トーナメント全体のイメージダウンを引き起こしかねない振る舞いだが、実はテニス界の発展に貢献している意外な事実があるという。米ESPNが報じている。

 記事によると、これまで数々の暴言で処分を受けていたフォニーニは今回の一件で、罰金はキャリア合計25万ドル(約2715万円)に達した。グランドスラムから永久追放の可能性も浮上しているが、テニスのイメージを引き下げる行為が、実はテニス界の発展に寄与しているというのだ。

 記事では、グランドスラムの罰金はすべて「グランドスラム・ディベロップメント・ファンド」に寄付されることを紹介。この基金は、世界中のテニス新興国の競技振興のために資金を提供しているという。

「皮肉にも、グランドスラムで金銭的なペナルティを支払う常習者がテニス新興国でのテニスの世界的な発展に経済面で貢献しているということなんです」

 グランドスラム委員会のディレクター、ビル・バブコック氏はこうコメントしているという。

今季は想定以上の約3000万円に到達…ATPでは選手、家族の病気に対する支援も

 記事によれば、フォニーニは2014年にウィンブルドンで2度に渡る非紳士的行為で2万7500ドル(約299万円)の罰金を受けている。悪童キリオスも今季は全豪オープンで7300ドル(約79万円)、全仏オープンで6000ドル(約65万円)、全米オープンで5500ドル(約60万円)の罰金を受けている。

 同委員会は今季の罰金総額を15万ドル(約1629万円)と見込んでいたが、想定以上の金額に達しているという。全豪オープンでは5万9700万ドル(約648万円)、全仏オープンでは5万3900ドル(約585万円)、ウィンブルドンでは8万9400万ドル(約971万円)の罰金が選手の賞金から天引きされた。全米オープンの現時点で罰金総額26万7650ドル(約2906万円)を計上している。

 男子ツアーのATPでも選手の罰金は有効活用されているという。ATP広報のサイモン・ヒグソン氏によると、現役選手や引退選手、その家族の「深刻な病気」に対して経済的な支援を行うための基金になるといい、現時点では罰金10万ドル(約1086万円)が積み立てられていることを記事では紹介。一方、女子ツアーのWTAでは選手の罰金はチャリティ団体に寄付することになっているという。

 選手が犯してしまった罰金も、テニス界の振興の下支えとなっているようだ。