「安くてわかりやすい保険」はこう選ぼう!(写真 : Komaer / PIXTA)

先日、ある保険代理店の方と「保険料が安い保険」に関して、意見交換する機会がありました。代理店の方の言い分は「保険料の安さばかり追いかけると、保障内容やコンサルティングの価値など、大切なことがおろそかになりがちだ」というものでした。

筆者の考え方は異なります。筆者は、保険会社の経営を脅かさない範囲であれば「保険料が安いほど良い保険だ」と考えています。

おカネに色はない


この連載の一覧はこちら

仮にも、診断時に100万円が支払われる「がん保険」の保険料が、一括払いのみの取り扱いで、99万9000円必要だったとすれば加入する人などいないはず、と想像するとわかりやすいでしょう。

「コンサルティングやアフターフォローに要する費用をすべて込みにすると、一括払い100万円に近い料金になってしまう」という説明が通用するだろうか、と想像してもいいかもしれません。

おカネに色はありません。保険料が高い会社から給付される100万円と、安い会社から受け取る100万円では、後者のほうが役に立たない、ということもないのです。同じ保障内容であれば、保険料が安いほど好ましいはずなのです。

とはいえ、消費者が多種多様な商品の中から「安くてわかりやすい保険」を見つけるのは、難しく感じられるかもしれません。しかし、次の4点に留意すると、意外に簡単だと思います。

1.貯蓄性を求めない

安い保険料で多額の死亡保険金などを確保できる保険の利点は、加入者が出し合うおカネが、不測の事態に遭遇した人やその家族のために使われ、何事もなく過ごしている人には払い戻しされない「掛け捨て」の仕組みで支えられています。「保険=相互扶助」と説明されるのはそのためです。

一方、貯蓄は、加入者が支払ったおカネが、将来、払い戻しされるだけなので、助け合いというより自助努力であり、保険ならではの仕組みを必要としません。

現状、保険契約に要する手数料は高額なため、保険での貯蓄は不利でもあります。「保障と貯蓄を兼ねる」と案内される保険も、相続対策に「終身保険」を用いる時くらいしか出番はないはずです。「無事故お祝金」「健康還付給付金」のたぐいがある保険も無視して構いません。

まず、貯蓄性が語られる保険を視野に入れないようにすると、選択肢はかなり減るのです。

他社商品との比較検討を嫌っている保険は怪しい

2.保険会社のホームページで保険料の試算ができる

各社のホームページで、年齢・性別・保障額などを入力するだけで保険料が確認できることは、大きなポイントです。相対的に保険料が高めであると思われる会社の商品では、保険料の試算ができないことが多いからです。他社商品との比較検討を嫌っているのでしょう。

わずかな加入例を示す程度で、「資料請求」や「見積依頼」に誘導している商品も比較を嫌っていると考えられるので、避けたほうが賢明です。利用しやすい料金設定に自信があれば、その場で保険料が把握できるようなサイトを作るに違いないと思うのです。

営業担当者や代理店に、保険料以外の価値を伝えさせたいという思いがあるとしても、事前に保険料が確認できなくても構わない、とはならないでしょう。試算可能なサイトを調べると、検討すべき保険会社が絞られるのです。

3.特約が付加されていない

各種の特約が付加されていないことも重視したいと思います。特約が多くなるほど、保障内容がわかりづらく、保険料負担も重くなってしまうからです。

保障機能が1つしかない商品、たとえば、向こう10年間、一定額の死亡保障がある「定期保険」では、保障額が同じ場合、保険料を比べるだけで、どの会社の商品が利用しやすいか、誰にでもわかります。

比べやすい商品では価格競争も進むはずです。ところが、各種の特約がセットされると、そうはいかなくなります。

もとより、保険会社は、各種の特約から給付金が支払われる確率を、あらかじめ高めに見込んで保険料を設定しているはずですから、加入者には不利な賭けに乗る機会が増えることにもなります。

安さとわかりやすさを求める消費者は「特約がない保険」を探すことで、さらに選択肢を絞ることができるのです。

「保険選びは担当者選び」と明言する人もいるが…

4.対面販売が行われていない

ここまで原稿を書き進める中で、面白いことに気がつきました。先の3点のいずれかに該当する保険を販売するには、保険会社直属の営業担当者や保険代理店の営業マンなど「人の力」が求められるということです。たとえば、特約が満載された難解で高額な保険に自発的に加入する人が多いとは思えないからです。

冒頭で触れた代理店の人に限らず、「保険料が安ければいいというものではない」と主張する保険業界関係者は珍しくありません。商品選びにおける助言や契約後のアフターフォローの価値などを理由に、「保険選びは担当者選び」と明言する人もいます。

筆者には理解できない論法です。担当者の信頼度や力量を測るには担当者以上の知見が必要であり、担当者の当たりハズレがわかる人には、担当者などいらないだろうと思うからです。

そもそも、営業現場における教育は、販売促進情報や販売技術の習得に偏ったもので、まっとうな金融教育と呼べるものではありません。

実際、現役の営業マンと話していても、彼らが、基本的な金融に関する知見を持っていないことを痛感する機会が日常的にあります。たとえば、金融商品のコストに関する情報などが増えると、外貨建ての保険を資産形成目的で販売することなどできなくなると思うのです。

にもかかわらず、経験を積んだ営業担当者などには、独自のスキルがあります。どう見ても過大だと思われる契約や、世帯主から子供に至るまで、保険漬け(?)のように感じられるほどの追加契約を獲得しているのは、対人交渉に長じた営業担当者です。

見込み客の言動などに応じて、提供する情報を取捨選択しながら、成約に誘導する力は、対面販売の場で日々磨かれていくものであり、大いに警戒すべきなのです。

そんなわけで、安くわかりやすい保険を選びたい消費者は、対面販売が行われていない商品にこだわるとよいでしょう。「担当者による説明が受けられるのがありがたい」といった認識は過去のものとして、「対面での説明などが不要な契約が望ましい」と考えるのです。

具体的には、大手企業の職場などで案内される「団体保険」です。それは、保険会社の内勤部門の人たちが愛用する保険でもあります。パンフレット等を配布するだけで契約を集めているため、保障内容もシンプルで格安なことが多いのです。

「素人にもわかる保険」が良い保険

さらに、通信販売やインターネットで加入できる保険も選択肢になると思います。現状、ネットで販売されている商品が、対面販売を行う代理店に展開されている事実もあり「ネットで加入できるから断然わかりやすく安い」とまでは言えない状況です。

それでも、対面販売の怖さを知る筆者としては、より無難で、必要最小限の契約にとどめやすい、と見ています。

なお、ネット専業生保と呼ばれる会社について、赤字続きであることを指摘する媒体もありますが、保険会社は、初期費用がかさむビジネスモデルで、10年以内に黒字化するほうが珍しいという認識で構わないはずです(たとえば、ソニー生命が単年度黒字化を達成したのも営業開始から13年目のことです)。

今回、あらためて感じたのは、「素人にもわかる保険」が良い保険だ、ということです。それは単純明快な保障内容であることから、保険料も安く設定されやすいと思うのです。読者の皆様には「わかりづらい保険は誰のためにあるのだろうか?」という素朴な疑問を持っていただきたいと思います。