竹内涼真のブレイクに見る、イケメン像の変化 トレンドは草食系から体育会系へ?

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 8話を終えて以前2ケタ台と視聴率も好調の『過保護のカホコ』(日本テレビ系、水曜22時〜)。常識はずれな箱入り娘・カホコを演じる高畑充希しかり、“毒親”全開の母、泉役の黒木瞳しかりキャスト陣もこれまでにない強烈なキャラクターを演じて話題となっているが、本作への出演でもっとも株を上げたのは、麦野初役の竹内涼真ではないだろうか。

(参考:『過保護のカホコ』の語り手はなぜ時任三郎? 視聴者にぶつけられていた“父親の叫び”

 竹内といえば、5歳からサッカーをはじめ、高校時代に東京ヴェルディユースに所属していたという異色の経歴の持ち主。俳優業に転身した後は、『仮面ライダー』シリーズの主演、朝ドラ出演と、若手の登竜門とも言える作品に次々と抜擢され、今もっとも期待されている俳優のひとりである。

 その魅力を一言で言い表すならば“体育会系”。185センチの長身と、スポーツで培われたバランスの良い体格、人懐っこさの中に凛々しさのある顔立ちと、いい意味での男くささがある。『過保護のカホコ』では孤独に生きてきた画家志望の青年という役どころだが、生活費を稼ぐため肉体労働に従事してきたという設定がこの恵まれた体型とマッチ。やや日に焼けた肌も役柄に説得力をもたせている。

 世の流行と同様、イケメン俳優にもある程度のトレンドはある。ここ10年ほどを振り返ると、まず2007年には『クローズZERO』ブームが起こり、小栗旬や山田孝之らが演じたヤンチャで硬派な男たちに注目が集まった。その後、2010年代に入ると、『君に届け』(2010年)、『僕等がいた』(2012年)、『今日、恋をはじめます』(2014年)などの少女漫画原作の作品が多く作られるようになり、三浦春馬、松坂桃李ら爽やかな好青年タイプが人気に。そして現在では、その流れがさらに細分化している。個性派の菅田将暉や中性的な雰囲気の坂口健太郎、少年ぽさが魅力の山崎賢人、セクシー系な福士蒼汰と、さまざまなタイプのイケメン俳優がそれぞれに存在感を放っている。竹内涼真はその中にあってワイルドさを武器に“いそうでいない”絶妙のラインをついてきた。以前の記事、「竹内涼真、“若手イケメン枠”で異彩放ちブレイクへ 同性からも支持される体育会系の魅力」(http://realsound.jp/movie/2017/07/post-88300.html)でライターの石矢達夫氏が「昭和の日本映画に出てくるような雰囲気がある」と語っているが、まさにそんなクラシカルさも感じられる。

 竹内のブレイクはこの群雄割拠の中にあって、NHKの朝ドラ『ひよっこ』と『過保護のカホコ』と、同時期にヒット作に恵まれたことが大きい。『ひよっこ』では、佐賀の製薬会社の御曹司という役どころ。頭が良くお金持ちで、はじめは融通の利かない面もあったが、みね子との出会いにより変わっていく青年役を好演した。みね子との破局後、姿を消してからは“島谷ロス”が起こったほど。一方、『過保護のカホコ』の麦野は、一見“俺様”で他人には興味がなさそうに振る舞いながら、その実、頼りないカホコを放っておけないような優しい人物。笑って怒ってと目まぐるしく表情を変え、イケメンなのに言動は3枚目と、さまざまな両端の性質を持ち、常に針が振れているような定型のなさがある。ともすればキャラ崩壊に陥りそうなところ、一貫した魅力的な人物に仕立てたところはさすがだ。立ち居振る舞いや表情にも血わせることができる、何か身体性めいたものを感じる。これが役者以前に培ったものかどうかは定かではないが、体育会系出身ならではの敏捷性、表現力ゆえと見ることもできるのではないだろうか。

 今後の出演作に関しては今のところ不明だが、この注目度の高さを見れば、間をおかずして視聴者の前に現れてくれるはず。それもかなりの大役が転がり込んできそうな予感だ。時代は体育会系となるか。その旗手となるのは間違いなく竹内涼真だ。

(渡部あきこ)