綱川智・東芝社長(写真・時事通信フォト)

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 まさに「迷走」だ。東証2部に降格し、2017年3月期の決算報告で約5500億円の債務超過に陥った東芝の半導体子会社の売却先選びである。

「半導体子会社は東芝に残った数少ない利益部門だが、来年3月末までに債務超過を解消しないと東証の規定で上場廃止に追い込まれるので、なんとか早く売り先を決めたい。ただ、その売却先を韓国の半導体大手SKハイニックスを含む『日米韓連合』にするか、もともと半導体事業で提携している米ウエスタンデジタル(WD)の陣営にするか、台湾の鴻海にするかで右往左往しているのです」(大手紙経済部記者)

 6月に日米韓連合に優先交渉権が与えられ、8月下旬に一転、WD陣営と売却合意間近と報じられた。ところが、そこからさらに、日米韓連合に米アップルを加えた陣営が新たに買収提案をしていることが明らかになり、結局東芝は8月末の取締役会で「3陣営と交渉継続」を決めた。二転三転どころか四転五転。経済ジャーナリスト・磯山友幸氏が解説する。

「日米韓連合への売却話が持ち上がるたびに立ち消えになる背景には、韓国への技術流出を嫌がる官邸の思惑もあるとみられています。一方、韓国SKにしてみれば土壇場で外されて反発を強め、iPhoneなどに使う東芝製メモリの安定供給を求めるアップルがそこに乗ったというかたち。騒動の主導権争いは終始、“東芝以外”が繰り広げている。だから道筋が定まらない」

 東芝は売却によって債務超過を脱するまでの我慢──と思いきや、まだ茨の道は続くと磯山氏はいう。

「売却が合意に至っても各国の独禁法の審査を通るかといった問題があり、予定通り来年3月末までに資金が調達できるかは不透明極まりない。監査法人から内部統制が『不適正』といわれており、それも改善を示さないと東証の審査を通らないと考えられます」

 半導体子会社売却騒動を切り抜けても、上場廃止リスクを抱え続けることになるのだ。

※週刊ポスト2017年9月15日号