愛荘町に伝わる麻織物「近江上布」と、奈良県三郷町の地場産業である雪駄を組み合わせた商品が完成し、人気を集めている。

 近江上布を鼻緒に使っておりデザイン性の高いことが特徴。地場産業のコラボレーションに、事業に関わった両町の関係者は「この商品を機に、地域の伝統産業を知ってもらえれば」と期待する。

 近江上布は国の伝統的工芸品に指定され、上質な麻織物として知られる高級品。良質な麻織物の産地だった愛荘町など湖東地域で、さかんにつくられてきた。

 一方の三郷町は、草履や雪駄が地場産業。今回の商品は、三郷町で雪駄などの製造、販売を手がける「DESIGN SETTA SANGO(デザイン・セッタ・サンゴウ)」が作り上げた。

 きっかけは、昨年10月、関西国際空港で開かれた関西産業観光博覧会。愛荘町の近江上布伝統産業会館と同社もそれぞれ出展していた。その際「何か一緒にできないか」という話が持ち上がり、その後、同社の社員らが同館を訪れた。

 同館で見学したのが、同町で操業していた「野々捨(ののすて)商店」が織った近江上布と、布を染めるために使っていた同店の型紙。同社は鼻緒のある履物を広めようと、デザインや機能性の高い雪駄の製作に取り組んでおり、やわらかい色合いや模様の美しい近江上布の活用を決めた。

 両者のプロジェクトは昨年11月始動。雪駄職人が愛荘町から材料にする生地を選んで持ち帰り、今年7月中旬に完成させた。商品は、近江上布を使った「近江上布ヴィンテージ」▽型紙を麻布にプリントした「野々捨カタガミ」−の2種類。

 ヴィンテージは15年前に廃業した野々捨商店が営業していたころに織った布を使っており、数が限られた希少品。カタガミは、同店に残った型紙から1種類のデザインをプリントしており、黒と白のシンプルな模様が目を引く。

 同社の星田和彦社長によると、7月中旬の販売開始以降、想定以上に注文が入り、一時生産が追いつかない状況になったという。星田社長は「和柄なのにモダンに見えるので私服にも合い、若い人に親しんでもらえる商品ができた。近江上布も雪駄も、ともになり手が少ない産業。格好いい、かわいい商品で興味を持ってもらいたい」と話している。

 雪駄は、近江上布伝統産業会館やデザイン・セッタ・サンゴウのオンラインストアで購入できる。問い合わせは同館(電)0749・42・3246。