デザインが多彩なボンボニエール(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)

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 明治以降の皇室で、天皇の即位や結婚などのご慶事の記念品として用いられてきた「ボンボニエール」。

 婚約内定が決まった秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまのご成婚でも招待客に贈られるであろう小さな菓子箱は、精巧な細工が美しい工芸品だ。その歴史的な変遷を紹介する展覧会が皇居・三の丸尚蔵館で開かれている。国際親善を記念した地球儀形から戦時を象徴する砲弾形まで−。時代を映す多彩なデザインが人々を魅了している。(篠原那美)

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 ボンボニエールはフランス語でボンボン(砂糖菓子)を入れる小箱のこと。日本では、西洋文化を取り入れた明治以降の皇室で、天皇の即位や結婚、お子さまの誕生などの内宴や、外国賓客を招いた饗宴(きょうえん)で招待客に贈ることが定着した。

 三の丸尚蔵館の主任研究官、五味聖さんは「ボンボニエールという西洋の小箱が、日本に古くからある『引き出物』の習慣と融合し、皇室独自の文化として発展してきた」と説明する。

 宮内庁が所蔵する最も古いボンボニエールは明治27年3月、明治天皇の結婚25周年の祝宴のために作られたものだ。銀製の丸い器の上面に縁起物の鶴と亀が描かれている。

 大正13年5月、皇太子だった昭和天皇のご結婚を祝う宮中晩餐会(ばんさんかい)では、松で飾られ、螺鈿(らでん)と蒔絵(まきえ)が施された木製のボンボニエールが配られた。

 国際親善を記念したボンボニエールには粋な心遣いが感じられる。昭和6年、外国訪問から帰国した高松宮ご夫妻を囲む内宴で配られたのは「地球儀形」。平成3年に、天皇、皇后両陛下の即位後初の外国ご訪問を記念して作られた品も球状の「地球形」だった。

 一方、戦前の男性皇族が軍隊に属していた歴史を感じさせる品も残されている。昭和6年、北白川宮永久王の陸軍砲兵少尉任官の祝宴では「砲弾形」が、同7年、朝香宮孚彦(たかひこ)王の成年式の際には「飛行機形」がそれぞれ作られた。他にも「戦車形」「鉄帽形」「水雷形」など菓子器の実用からかけ離れたデザインもあって興味深い。

 平成以降は職人の減少を背景に、皇族方のお印などを描いた丸形で銀製のボンボニエールが主流となっている。

 五味さんは「戦時中は銀が使えず竹を用いて作られた時期もあった。材質やデザインの変遷を楽しんでもらえれば」と話している。展覧会は10日まで。