足立佳奈のデビューは韓国でも報じられている

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SNSを中心に同年代から支持を受け、8月30日にCDデビューを果たした女子高生シンガー、足立佳奈が話題らしい。

とある情報バラエティ番組によれば、渋谷の女子中高生の間で彼女の認知度は80%に上るそうだが、ブレイクのきっかけは15秒ほどの動画“キムチの歌”だったという。

「みなさん、最近笑ってますか」という歌詞で始まり、「笑えないときはこの言葉、効果的です」と続き、最後は「キムチ」と言って締めくくられる。

韓国では写真を撮るときに、日本の「チーズ」と同じように「キムチ」と言ったりする。「チ」を発音すると口角が上がって、笑ったように見えるからだ。

日本の女子高生がキムチを題材にして歌を作り、その楽曲でCDデビューしたのだから当然、韓国でも話題になっている。韓国の大手ニュースポータルサイトでもしっかりと紹介しているほどだ。

“キムチの世界化”が大成功した結果!?

それにしても、日本の女子高生がなぜ“キムチの歌”を作ったのだろうか。

『オリコンニュース』のインタビュー記事によれば、いつも冷蔵庫のなかにあるキムチがある日なくて、悲しいと思いながら鏡の前で「キムチ…キムチ…」と歌っていたら、笑っている自分が映っていたことがきっかけだったという。

「『あっ、これはみんなを笑顔にできるな』と思って、サササッて作ってアップしたんです」と答えている。

初見では突如登場するキムチという単語に違和感を覚えたが、少なくとも彼女の家庭ではキムチが日常にすっかり溶け込んでいたようだ。

実際に韓国では“キムチの世界化”を目指しており、国家予算1000億ウォン(約100億円)を投入した「世界キムチ研究所」などもある。

当然のように、キムチの輸出にも力を入れている。

韓国の農食品の主要輸出国、1位の日本と2位の中国からの需要は減っているものの、イギリスやオランダなどへのキムチの輸出は今年の上半期、前年同期比18.2%も増加しているらしい。

韓国では“キムチ離れ”?

一方で、韓国におけるキムチの立場は微妙になりつつある。そもそも韓国人のキムチを食べる量が年々、減少しているのだ。

嘉泉大学食品栄養学科イ・ヘジョン教授チームの論文『ここ10年間の韓国人の地域別、所得水準別キムチの摂取変化』によると、韓国人1人当たりが一日に食べるキムチの量は、2005年123.9gから2015年96.3gと10年間で22.3%も減ったという。

特に10年間で17.8%減となった男性よりも、女性(27.8%減)の“キムチ離れ”が進んでいる。

ちなみに、所得が少ない層は相対的にキムチの消費量が高いという調査結果もあった。

ネットスラングに“黒歴史アニメ”も

また韓国を代表する料理であるがゆえに、キムチという言葉が何かと悪用される例も見つかる。

ネット上では韓国人女性を侮辱するときに「キムチ女」というスラングを使っていることはその象徴だろう。

もともとは「デート費用はすべて男性が負担して当たり前」と考える図々しい女性を指す俗語だったが、ネット上ではいつの間にか韓国女性全般を指す言葉として使われている。

さらに遡れば、キムチを世界に広報しようとして失敗した例もあった。

キムチの広報のために制作されたアニメ『キムチ戦士』は、そのクオリティの低さから『ワピース』などと並んで“黒歴史”と呼ばれている。
(参考記事:韓国アニメ業界が直視したがらない“黒歴史”と呼ばれる3つのアニメ作品

キムチで笑顔になるという日本と、涙目になっている韓国。なんとも不思議な現象だが、“キムチの歌”でブレイクした女子高生シンガーには、注目してみたい。

(文=慎 武宏)