「カロリー制限」と聞くと、ダイエット中の人や病気の人がやることと思ってしまいがちですが、適度なカロリー制限や絶食は、ダイエットに効果的なだけでなく寿命を延ばす効果もあるようです。今回のメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』で、著者で現役医師の徳田安春先生(総合診療医)が驚きの研究結果を紹介しています。

カロリー制限による寿命延長

適度なカロリーの制限は生物の寿命を伸ばします。ざっくりいうと、20〜30%のカロリー制限を行うことにより、様々な生物で寿命が延びることが、科学的に証明されています。これはまずマウスで証明されましたが、その後に酵母菌や小魚、そして猿などでも証明されています。

それでは人間ではどうでしょうか。人間でのカロリー制限で寿命が延びたという科学的エビデンスはまだ得られていません。しかしながら、これまで行われた疫学的研究ではそれはおそらく正しいと考えられています。

100歳以上の長寿者の調査や、自発的にカロリー制限をしていた人々を対象とした研究などで長寿効果が示唆されています。また、寿命が延びただけでなく健康寿命も伸びていました。

ヒトにおけるカロリー制限の効果

しかしながら、カロリー制限の問題は実用面です。毎日の摂取カロリーを制限することが果たして持続可能かどうかです。10年前にスタートしたある研究では25%のカロリー制限を実施しました。摂取カロリーや食事行動に関する集中的な教育プログラムが行われましたが、実際に参加した人々は平均で12%のカロリー制限を実現させました。

この研究でカロリー制限を行った人々の平均体温や基礎代謝率はカロリー制限を行わなかったグループの人々と比べて特に変化はありませんでした。しかしながら、体重は落ちて血圧も下がっていました。血液検査を行ってみると、インスリン感受性が改善していました。インスリン感受性が悪くなると糖尿病になりますので、インスリン感受性が良くなるというのは糖尿病になりにくくなるということです。

さらに、カロリー制限を行ったグループの人々では、悪玉コレステロールも下がっていました。人間でもついにカロリー制限が長期間持続可能であり、しかも臨床的に効果があることが科学的に証明されたのです。特に大きな問題となる副作用もありませんでした。

絶食の効果

長期間のカロリー制限より実用性があるのは、短期間の絶食を取り入れる方法です。12時間以上の絶食でも、動物実験等で寿命を延長させる効果が認められています。絶食もまた、カロリー制限と同じように寿命を伸ばす効果が認められています。

このため、人々を対象とした絶食の研究も行われるようになりました。1日おきの絶食、週1回の絶食、あるいは1ヵ月に数日間の絶食などのような介入プログラムが研究対象となっています。

マウスに対して1カ月に2回、それぞれ4日間の絶食を導入した研究が行われました。絶食したマウスは他のマウスと比べて10%の期間を長生きすることができました。絶食を受けたマウスは長寿となっただけでなく、認知機能も良くなっていました。絶食は脳細胞にも良い効果があったのです。

絶食による臓器再生

マウスたちを解剖してみると絶食を行っていた直後は内臓のサイズが少し小さくなっていました。しかしながら、通常の食事に戻したあとでは、骨髄から幹細胞が血流を通して出てきて内臓に到達し、そこで各臓器の再生が行われるようになっていました。

アメリカの国立エイジング研究所がサポートした研究では、肥満の若い女性に対して絶食介入が行われました。これは1週間のうち、連続した2日間のみ75%ものカロリー制限を行うというものでした。これは5対2ダイエットと呼ばれています。肥満症の人々は体重を減らすことができ、血糖のコントロールが改善し、悪玉コレステロールや血圧を下げることもできました。

もう少し穏やかなダイエット法も考案されています。それは、1ヵ月のうち連続した5日間のみ60%のみのカロリー制限をまず3カ月間行う、というものです。60%のカロリー制限ですから、真の絶食ではありませんので、これは絶食もどきダイエット(fasting-mimicking diet)と呼ばれています。

文献

Wei M, Brandhorst S, Shelehchi M, Mirzaei H, Cheng CW, Budniak J, Groshen S, Mack WJ, Guen E, Di Biase S, Cohen P, Morgan TE, Dorff T, Hong K, Michalsen A, Laviano A, Longo VD. Fasting-mimicking diet and markers/risk factors for aging, diabetes, cancer, and cardiovascular disease. Sci Transl Med. 2017 Feb 15;9(377).

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出典元:まぐまぐニュース!