株式会社NexToneは、同社が管理する作品のYouTube上における包括的な利用許諾契約をYouTube側と締結したことを発表した。

そもそもNexToneは、2001年の著作権等管理事業法の施行を受けて、「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が独占していた音楽著作権管理事業に新規参入した著作権管理サービスの会社だ。


これまで日本での音楽著作権の管理は、一元的に日本音楽著作権協会(JASRAC)が独占して、行ってきた。
こうしたJASRACの存在や現行の体制についての議論は、もう長年にわたり行われている。
音楽教室からの徴収の是非など、本当に多くの賛否を含む論点がある。
特に最近では、楽曲はデジタル化され、使われ方も従来とは変化しているにもかかわらず、徴収の仕方や分配は、現在の市場の変化に対応しているとはいいきれない。
その不備や疑念から招かれる不透明さが、著作権者と利用者にとって問題の1つとして取り上げられることが増えていた。

そうした状況の中で行われたNexToneとYouTubeの許諾契約は、デジタル時代の新たな著作権管理への取り組みといえる。

◎透明性のある著作権管理へ
これまでのNexToneとYouTubeの許諾契約では、

・定額の年間著作権料を徴収
・著作権料に分配という形

だった。このあたりは、JASRACのやり方に近い。
今回の新しい許諾契約でどう変わったかというと、

・YouTube側から楽曲ごとの再生回数など利用報告&支払い

を受けることになる。

それによって、権利者に利用実績に基づいて著作権料を支払うことができる。
つまり、実際の利用に即した透明性のある、著作権管理が可能だということなのだ。

もともと、YouTubeにはContent IDという、 YouTube 上の自分のコンテンツを特定し、管理することができる仕組みがある。
これが、今回の著作権管理プロセスに採用されている(リリースでは「YouTubeにおけるデータエクスチェンジ」と表記されている)。

◎動画コンテンツの新しい仕組みづくり
いまや、コンテンツ産業においてYouTubeは欠かせない存在だ。
企業や法人、地方自治体、個人も動画コンテンツでのPRはYouTubeで展開している。
さらに子供たちにとって「YouTuber」がなりたい職業にランキングする時代でもある。

アーティストの楽曲やドラマのエンディング映像なども、期間限定でPVがYouTubeに放流されることも多々ある。ブーム作りのチャネルとしても機能しているのだ。

しかし、そうなるとその権利関係が問題になってくる。
一度、ネットに流れたデータの管理はまず無理だ。
コピーが流出し、不正に利用されてしまう。
権利者にとっては、動画コンテンツでPRはしたいが、それと不正利用は別の問題であり、絶対に避けたい。

そこが難しい問題となってくる。

そこで、YouTubeのContent IDだ。

YouTubeのContent IDを登録することで、不正利用についての意義を申し立てることができるからだ。こうして、著作権の保護をする一方、さらに、このContent IDを活用し、自分の作品が他者に利用されている場合に収益化を図ることができるようになっている。

一般ユーザーからの投稿動画はスキャンされ、コンテンツのデータベースと照合される。
そして、動画に含まれるコンテンツとContent IDが登録された作品が一致した場合、

・閲覧できないよう動画全体をブロックする
・動画に広告を表示させて動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する
・その動画の再生に関する統計情報を追跡する

のオプションから、その対処を自身が決めることができるのだ(これは、国ごとに指定できる)。

とはいえ、Content IDを利用するには承認が必要で、

・評価されるコンテンツに対し独占的な権利を所有していること

を証明できる必要がある。

さらに使用が承認された場合も、

・独占的な権利を所有するコンテンツのみを参照ファイルとして使用できる旨が明示的に記載された契約書に同意する
・全世界での権利を有していない場合は、どの地域において独占的所有権を持つのかを申告する

必要がある、など、手続きはかなり煩雑かつ大掛かりで、個人が申請するには少々敷居が高い。

今回のNexToneのYouTubeとの契約により、それが少しでも容易になるのではないか?
という期待ができる。

NexTone社が今度、どういう利用者にサービスを展開していく方針なのか、まだリリースの段階でははっきり見えていないが、個人でもContent IDのメリットを享受することができるようになれば、大きな変化が生まれるだろう。

いまのWebコンテンツのフォーマットは、テキストや静止画から動画へと大きく動いている。
YouTubeだけでなくプラットフォーム側にとっても、動画コンテンツを自プラットフォームに集めるために、しのぎを削っている。
YouTubeにとっても、この施策が(囲い込みではないが)、より多くの、人気のある動画コンテンツを集めることにつながるという見方もできるだろう。

トランスコスモスでは俳優の山田孝之氏と共同で新会社を設立し、プレミアムコンテンツをライブ動画で販売・運営するECプラットフォームを設立することを発表している。

動画コンテンツの今後については、著作権管理の改善から、新しいプラットフォーマーの登場や仕組み作りなど、まだまだこれから新しい動きが続きそうだ。


大内孝子