【今さら聞けない】確定拠出年金のイロハを税理士に聞いてみた【前編】

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厚労省の統計によれば、男性の平均寿命はとうとう80歳を超え、女性に至っては87歳と、もう90歳の大台が見えている。長寿は医療技術の進歩や生活水準の安定の証左であり、喜ばしいものではあるが、その反面お金の心配はますます増すばかりである。60歳で定年退職したとしても、20年以上の生活費を工面していかねばならない。それにはもちろん、老齢年金だけでは足りない。老後の蓄えとしてどれくらいあれば十分なのだろうか。「教えて!goo」には「老後に備えてどれくらいの蓄えが必要でしょうか?」という質問が寄せられている。

■年金込みで1億円!?

一概に「老後の蓄え」と言っても、老後の暮らし方によって必要になる金額は千差万別である。しかし中でも総費用として「1億円」というワードが一定の回答者に共通していた。

「厚生年金6000万円くらいもらえることを前提とし、一般的に3000万円と言われています。夫婦2人で、60歳から85歳まで生きたとした場合、約1億円あれば余裕のある暮らしができると言われています。もちろん、これよりずっと少なくても生活はできます」(ma-fujiさん)

「年金をプラスして約1億と聞いたことがあります」(miku9000さん)

「夫婦2人での老後生活を考えると…最低日常生活費は平均22.3万円ゆとりある老後生活費は平均36.6万円月→36.6万×25年(85歳まで)ざっと1億1000万円が老後のセカンドライフに必要です...(中略)ここから公的年金支給額を差し引いた額が自分で準備しなければいけない金額です。一般的には3〜4000万くらいです)(cfpurawaさん)

「1億円」という金額のうち、自前で準備すべきなのは、3000万円程度のようだ。しかしこれは十分な額の年金が国から受け取れる前提でのこと。20年後30年後に、現在と同程度の水準の年金が受け取れるとは限られない。

■自前運用する「確定拠出年金」

老後の蓄えを準備するには2つの方法がある。一つは貯蓄すること。もう一つは投資信託などの金融商品を買って資産運用し、これで得た利益を老後資金に上積みしていく方法だ。そこで今回は、代表的な資産運用方法、「確定拠出年金」をご紹介しよう。

確定拠出年金とは、いわば自分で資産運用し利殖することで将来、受け取る額の上積みを狙う年金。現役時代に毎月定額を口座に積み立て、金融商品を購入することで長期的な資産運用を行う制度だ。最近は退職金に代わるものととして、確定拠出年金制度の導入を進めている企業も多い。個人と企業の確定拠出年金はどのように違うのだろうか。これについて、元国税調査官で税理士の松嶋洋氏に解説していただいた。

「個人型と企業型の違いは、前者が個人が任意で加入するものであるのに対し、後者は会社が退職金制度に代わるものとして導入している場合に加入するものです。このため、個人型については、個人が掛金を負担し、その掛金は確定申告等で所得控除の対象とすることができます。一方で、企業型については、原則として会社が掛金を負担し、その掛金は会社の経費として処理することになります」

毎月、口座に積み立てる掛け金を自分で負担するか会社でもってもらうかが、最大の違いのようだ。ただし、会社もちとは言っても、退職金制度の代替として確定拠出年金の制度を導入している会社では、退職時に受け取る額が「目減り」する可能性もゼロではない。月々の掛金を金融商品に投資して得た恩恵を「退職金」の代わりとして受け取ることになるが、投資対象が金融商品である以上、元本保証はない。従来の「退職金」よりも、受け取る額が少なくなる「元本割れ」リスクがもあることは考慮に入れておかなければならないだろう。

では、「個人型」のメリットとデメリットはどうだろう。
「従来は、自営業者や確定拠出年金がない企業の会社員などしか加入資格がありませんでしたが、2017年の法改正により、専業主婦や公務員に加え、確定拠出年金がある企業の会社員なども加入できるようになりました。税制上のメリットなどもあることから、今後は制度の普及が大きく促進されることが期待されています」

もちろん、金融投資についてまわるリスクは変わらないが、「企業型」とはまた違ったメリットもあるようだ。

こうして専門家に聞いてみると、様々な特徴やメリットのある確定拠出年金。後編では、企業型確定拠出年金の実態や、今回、触れた税制上のメリットについて、より突っ込んだ話を聞いてみよう。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中

ライター 樹木悠

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)