コオロギ出汁のスープが絶品!話題の“昆虫食”、その魅力とは?

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FAO(国際連合食糧農業機関)でも推奨され、最近になり注目が集まる“昆虫食”。環境・健康・経済・社会とさまざまな面から、多くの利点があると言われています。「昆虫を食べる」と聞くと少し勇気がいりますが、昆虫には良質なたんぱく質が豊富。地域によっては大切な食料となっています。

今回は、そんな昆虫食にチャレンジ。昆虫料理をつくってくれたのは、昆虫食を研究している慶應大学4年生の篠原祐太さんです。幼少期から昆虫をはじめ、動物、自然などが大好きだったそう。昆虫も幼いころから食べていたらしく、いわば昆虫食のプロ。昆虫の味がしっかりわかるよう、“シンプルで虫の味がダイレクトにわかる料理”をリクエストしました。

■まずはセミを捕りに公園へ!

こちらが篠原さん。虫柄のTシャツがインパクト大。

ーーそれでは、本日は宜しくお願いします!早速ですが、夏におすすめの昆虫料理ってあるんですか?

「やっぱり、夏はセミですね。それじゃ、早速セミを捕りにいきましょう」

ーーえ、今からですか!?

「やはり、捕れたての方が美味しいですからね。セミは大きいので、他の昆虫と比べて食べごたえもありますよ!」

篠原さんの案内で、近くの公園へ。虫とり網&カゴで完全装備です。

やはり慣れているのか、15分程度で6、7匹ほどのセミが捕れました。

虫とり網を街中で持っているのが珍しいのか、「あー!虫取りだー!」「お兄ちゃん、こっちにもセミいるよー!」と、小さな子供に声をかけられていたのが印象的でした。捕ったセミを持って移動する際は、洋服でセミを隠すようにしています。

「虫が苦手な方もいますからね。昆虫食の良さを伝えたいのに、虫に対して嫌な印象を持たれてしまったら本末転倒ですから。まあ、服の下からセミの鳴き声が聞こえてくるのも、妙な光景かもしれませんが(笑)」

セミを確保したところで、篠原さんのご自宅で調理開始。今回は4品の昆虫料理をつくってもらいました。

■セミにコオロギ……、昆虫料理の味は?

捕れたてのセミは元気が良すぎて調理しにくいため、ジップロックに入れ、一度冷凍庫で冷やして弱らせます。

■1品目は“2種のコオロギ素揚げ”

セミを冷やしている間に、まずは1品目「2種のコオロギの素揚げ」をつくります。コオロギは篠原さんがお部屋で育てていたものです。

「虫は体内の水分が多いので、とにかく油ハネします。コオロギを鍋に入れたら、すぐにフタを閉めます」

コオロギを鍋に入れると“ジュワ!” “バチバチ”と勢いのいい音が。確かにフタを閉めないと油が飛んで危ない感じがします。

コオロギは30秒程度で揚がります。味付けはシンプルに塩のみで。篠原さんがさまざまな塩で試した結果、ピンクペッパー入り岩塩が一番マッチするのだそう。

コオロギの素揚げが完成。黒っぽい色をしたコオロギが “フタホシコオロギ”、白っぽい色をしているのが “ヨーロッパイエコオロギ”です。食べるのにちょっと勇気がいる感じで、個人的には決して食欲をそそるビジュアルではありません。「揚げたてがやっぱり美味しいですよ」と、笑顔の篠原さん。恐る恐る口にしてみると……。

意外と美味しい! 味にクセや臭みは全くありません。足や羽のサクサクした食感もいい感じです。例えるなら、居酒屋などにある川えびの素揚げに近いかもしれません。白い方は、あっさりとした味わいで、黒い方はちょっとコクがあります。「昆虫食が初めての方でも、素揚げは食べやすいと思いますよ」という篠原さんの言葉に納得でした。

■2品目“ミールワームの素揚げ”

コオロギの次は“ミールワーム”という幼虫の素揚げをつくっていただきました。ミールワームも篠原さんがお部屋で飼育しているものです。

こちらも30秒ほど揚げて、先ほどのピンクペッパー入り岩塩を振りかけて完成。揚げると体がピンと伸び、体内の水分が抜けて透明感が出ます。

幼虫なので、コオロギよりもビジュアル的には苦手かも……。しかし、こちらも食べてみると美味しい! コオロギよりもさらにアッサリ系。サクサクしたスナック感覚で、ビールとの相性も抜群です。

ーーコオロギもミールワームも全然クセがないですね。この子たちには、何をエサにして育てているんですか?

「コオロギはキャベツやケール、ほうれん草、人参などの野菜をエサにしています。ミールワームには、野菜の他に小麦粉をあげたりしていますね」

ーーなるほど、野菜で育っているから、変なクセが出ないんですね。反対に、クセが強くて食べづらい昆虫ってありますか?

「メジャーどころだとカブトムシですね。食べづらい、というか、めちゃくちゃマズイです。カブトムシの場合は腐葉土を食べて育つので、腐葉土のままの味がします。臭みや苦味が強いですね」

■絶品!コオロギ出汁のスープ

3品目はコオロギ出汁のスープ。コオロギを煮詰めてつくった出汁と、コオロギの焦がし油、調味料を合わせてつくります。

こちらが出汁用のコオロギ。長ネギと生姜も入っています。見た目は、虫嫌いな方にはちょっとキツイかもしれません。

しかし、そんな見た目とは裏腹に、調理中からとってもいい香りがします。

器に盛り付け、最後に三つ葉を飾れば完成。彩りも鮮やかです。

一口食べてみると、しっかりとコクがあって、香りも風味も◎!コオロギ油がいいアクセントになっていて、脂っこくはないのに濃厚で深い味わい。正直、飲食店で出ていても不思議ではないレベルです。ちょっと魚介っぽさもあるけど、また違った感じで、初めての味でした。お酒を飲んだ後の〆にもぴったり。

ちなみに篠原さんは以前、人気ラーメン店・凪(なぎ)とコラボレーションして、コオロギ出汁ラーメンをつくり、販売した経験があります。行列ができるほど大盛況だったそうです。

■捕れたて!セミの素揚げ

最後は先ほど捕獲した、ミンミンゼミとアブラゼミの2種類を素揚げにします。セミの味付けは能登半島の塩。粒が大きめで、食感的なアクセントにもなるのだそう。セミは揚げると羽が広がります。

1分程度で揚がりました。羽が透明なのがミンミンゼミ、茶色い羽をしているのがアブラゼミです。

食べてみるとほのかに苦味があり、焼きさんまのワタに少し似ている感じ。どこか懐かしいような、食べたことがあるような味がしました。篠原さんが言っていた通り、食べ応えもあります。ミンミンゼミとアブラゼミで、そんなに味の違いは感じませんでした。

セミのエサは木の樹液。そのため、コオロギやミールワームと同様、変なクセはないので食べやすい印象です。篠原さんによると、セミは中華のような味付けやチリソースなどで辛めに味付けすると、香ばしさが引き立ちおすすめなんだとか。そちらも気になります。

すべてのメニューを美味しくいただきましたが、昆虫食には注意点もあります。
・食用できる虫かどうか確認できないものは食べない。家庭にいるゴキブリなど衛生面で問題のある虫はもちろん、自然に生息している虫にも食べられない虫がある。(例えば、ツチハンミョウなどは猛毒を持っているため、食べられない)
・加熱を徹底すること。炒める・揚げるなど必ず火を通して食べるようにする。
・甲殻アレルギーを持っている方は食べるのを避ける。

「昆虫食を試してみたい!」という方は、まずは昆虫食関連のイベントやワークショップに参加してみるのもオススメです。

■昆虫食の良さを広めたい

篠原さんは昆虫食の良さを知ってもらうため、昆虫料理専門店を開業することを考えているのだそう。

「コオロギを使った本当に美味しいラーメンをつくり、昆虫食を広めていくのが最初のステップです。ラーメンならあまりコオロギと思わずに食べられますからね。後は、バーも考えています。これはタガメを漬けたテキーラです。タガメはフルーティーな甘い香りがあり、マイルドで飲みやすいですよ」

▲タガメのテキーラ。匂いをかぐと甘い香りがする

「珍しさとして話題になるのに昆虫なら難しくはないと思いますが、話題になっていることと、味の魅力が伝わったのでは意味が違います。一過性のものではく、継続して食べてもらえるようにしていきたいですね」

「自分で捕ったもの・自分で育てたものを食べる経験は、意外とないですよね。でもそれこそが、自然の生き物を食べる面白さ、醍醐味なので、何かの先入観によってその経験が閉ざされるのはもったいないと思います。最終的には“新しいものを食べるってワクワクするな”というのを感じてもらえたら嬉しいです」

生き物や自然全般が好きな篠原さん。お部屋には昆虫だけでなく、色んな種類のトカゲやハリネズミ、金魚や植物までさまざまな生き物たち、約2000匹を飼っています。それぞれの温度や湿度まで、きちんと管理されているのが印象的でした。

▲珍しい“鳴くゴキブリ”や先ほど食べたコオロギなど種類豊富

▲ハリネズミなど、可愛らしい動物も(もちろん食べませんよ)

最初は「昆虫って見た目的にきついし、食べたくないなぁ……」なんて正直思っていましたが、美味しく食べることができたのは、新しい発見でした。みなさんも機会があれば昆虫食にトライしてみてもいいかもしれません。

 

(取材・文/浅野 智恵美)


あさのちえみ/ライター

ウェブ制作会社にて、ディレクター及びライターを経験後、フリーランスに。コンテンツ企画を得意としています。趣味はフェス・ライブ参戦とヘアカラー。知らない道を歩くのが大好きです。