主要国の首脳と相次いで電話会談を行った文大統領(大統領府提供)=(聯合ニュース)

写真拡大

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、度重なる弾道ミサイル発射に続き核実験を強行した北朝鮮に対し、軍事、経済の両面で超強硬対応に出た。

 文大統領は4日に行ったトランプ米大統領との電話会談で、北朝鮮による3日の6回目核実験への対抗措置として、韓米ミサイル指針で定められた韓国軍のミサイル弾頭重量の制限を解除することで合意した。また、ロシアのプーチン大統領との電話会談で、北朝鮮への石油禁輸を国連安全保障理事会で検討するよう促した。日本の安倍晋三首相、ドイツのメルケル首相とも相次いで電話し、「これまでとは次元の違う、北が痛感するような強力かつ実質的な対応措置が必要だ」と繰り返し強調した。

 挑発に対し爆撃機や弾道ミサイルで武力を誇示するという従来の対応では北朝鮮をけん制できないと判断し、弾頭重量の制限解除により有事の際の破壊力ある軍事的報復を示唆すると同時に、石油の供給遮断で北朝鮮経済をまひさせるという警告を北朝鮮に送った格好だ。

 特に、弾頭重量の制限解除は大半が地下深くにある北朝鮮の重要軍事施設の破壊も可能にするため、文大統領が言及した「今までにない」強力な対応と受け止められている。

 現行のミサイル指針では韓国軍のミサイル射程は800キロ、ミサイルに搭載できる弾頭の重量は500キロに制限されており、威力に限界があった。重量500キロの弾頭を搭載したミサイルでは空港の滑走路を破壊する程度にとどまるが、制限がなくなり弾頭重量が1〜2トンになれば地下数十メートルにある施設も破壊することができ、北朝鮮は脅威を感じざるを得ない。また、韓国軍の射程800キロの弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)2C」に重い弾頭を搭載すれば、韓国南部からも北朝鮮全域を攻撃できるようになる。

 韓米両国が1979年に初めてミサイル指針に合意してから38年にして、韓国の要請で弾頭重量の制限という足かせを外すことにしたのは、文大統領がそれだけ現状を深刻に捉えていることの証だ。

 また、文大統領が北朝鮮への石油禁輸に言及したことを巡っては、対北朝鮮で軍事的対応とは別に経済的な圧力を最大限に強める考えを明確にしたものと分析されている。4日のプーチン氏との電話会談で文大統領は、石油禁輸や北朝鮮労働者の受け入れ禁止など、北朝鮮の外貨収入源を絶つ方法を国連安全保障理事会で真剣に検討すべきとの考えを示した。

 文大統領は、8月7日に行ったトランプ氏との電話会談では、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星14」の2度の発射を受けた安保理制裁決議の採択を歓迎する一方で、「原油供給の中断が決議に盛り込まれなかったのは残念だ」と述べていた。このときは消極的に残念な気持ちを伝えたが、北朝鮮の核実験を受け、積極的に対北朝鮮「経済封鎖」を目指す姿勢に転じたことになる。

 韓国青瓦台(大統領府)関係者は「次元の違う」措置について「北への石油輸出の禁止、北の労働者の受け入れ禁止を含む強力な安保理決議の採択推進を意味する」と説明した。弾頭重量の制限解除が北朝鮮にとっての未来の脅威だとすれば、石油禁輸は北朝鮮に直ちに致命的な打撃を与える措置だ。

 だが、北朝鮮への石油禁輸は最大の供給元である中国の態度が鍵になる。中国がこれまで禁輸に拒否感を示してきたことを踏まえると、北朝鮮へ延びる石油パイプラインのバルブを閉める可能性は今のところそれほど高くないというのが大方の見方だ。一方で、核実験により朝鮮半島を巡る危機が臨界点に達し、中国も北朝鮮に核実験をしないよう求めてきたため、中国がこれ以上は国際社会の要求を拒んではならないという意見も少なくない。

 こうした状況で、文大統領と中国の習近平国家主席との電話会談が実現するかどうかに注目が集まる。文大統領は北朝鮮の核・ミサイル挑発に対し米国や日本の首脳とは随時電話で協議しているが、習氏とは電話していない。

 米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備とこれに対する中国の報復で韓中関係がぎくしゃくしているため、首脳同士の電話は容易ではないとの見方が多いものの、緊迫している朝鮮半島情勢を踏まえると劇的に実現する可能性もないとはいえない。

 4日のトランプ氏との電話で文大統領が「対話」という言葉を使わなかったことも注目に値する。文大統領は強い圧力と制裁は北朝鮮を対話の場に引き出すための手段だという持論を変えてはいないものの、北朝鮮が核実験を強行した中、「対話無用論」を持つトランプ氏に対話を持ち出すのは戦術的にも適切でないと計算した可能性がある。