秋山英宏 全米レポート(8)苦戦が続く谷間世代。第9シードのゴファンが19歳ルブレフに敗れる

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「ロストジェネレーション」という、あまりありがたくない言葉が時々聞かれるようになった。「BIG4」と、アレクサンダー・ズベレフに代表される「Next Gen」の狭間の世代。つまり錦織圭、ミロシュ・ラオニッチ、グリゴール・ディミトロフ、ダビド・ゴファンら、1990年前後に生まれた選手たちを揶揄する言葉だ。

申し分のない実績を残し、30歳台になってもテニス界に君臨するBIG4。そして、20歳にして世界ランキング6位に躍進したズベレフら、タレントがそろう次世代。上と下から挟まれた、谷間の世代というわけだ。

ともに88年生まれのフアン マルティン・デル ポトロやマリン・チリッチも同じ世代。四大大会優勝の実績を持つ2人は谷間世代扱いを免れているが、もうひと皮むけたいという点では同じだろう。

ベテランと新鋭が輝けば輝くほど、20代後半になって四大大会で結果を残せない錦織世代には風当たりが強くなる。期待が大きいだけに、大舞台で勝てない彼らへのもどかしさが意地悪な言葉を生んだのだろう。

今大会は錦織、ラオニッチが欠場、第5シードのチリッチが3回戦敗退、第7シードのディミトロフが2回戦敗退と、この世代の苦戦が続いている。

一方、「Next Gen」は好調だ。第4シードのズベレフは2回戦で敗れたが、番狂わせを演じたボルナ・チョリッチも96年生まれの次世代選手。予選から勝ち上がった18歳のデニス・シャポバロフも2回戦でジョーウィルフリード・ツォンガを破り、ベスト16に残った。

ディミトロフを破ったのが19歳のアンドレイ・ルブレフだ。4回戦でそのルブレフと26歳、ゴファンの世代間対決が実現した。ルブレフは接戦となった第1、2セットを奪い、結局、ストレート勝ち。48本のウィナーを決め、ゴファンをオーバーパワーした。

ディミトロフに続いてゴファン、今や錦織世代の天敵か。ゴファンは「彼は攻撃的だった。動きが100%ではない僕が勝つのは難しかった。彼はスピードがあり、ボールを強くたたく。ポテンシャルの高い選手だ」と脱帽した。全仏で痛めた左ひざにはテーピングが残る。故障明けのゴファンには、世代の最後の砦になることはできなかった。

ルブレフは準々決勝で第1シードのラファエル・ナダルと対戦する。谷間の世代をなぎ倒し、今度はBIG4へのチャレンジ。「ラファは本物のチャンピオン。準々決勝の舞台を楽しみたい。僕には失うものは何もない」と、無心で挑む。

(秋山英宏)

※写真は「全米オープン」で全米オープン史上最年少での準々決勝進出を果たしたルブレフ(2回戦のときのもの)
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