カッコウの雌がその鳴き声をまねることが分かったとされる猛禽類のハイタカ(2008年6月15日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】卵を抱いている他種の鳥の巣にこっそりと自分の卵を産みつけ、親としての義務を逃れる托卵(たくらん)行動で知られるカッコウは、これまで考えられていたよりはるかに腹黒い策士であることを明らかにしたとする研究論文が4日、発表された。

 研究によると、雌のカッコウは卵を産みつけた直後に、巣の持ち主の鳥(ヨーロッパヨシキリなど)を動揺させるほどおびえさせ、新しい卵に気づかせないよう気をそらせるのだという。

 カッコウは、自分の卵を紛れ込ませた巣を飛び去る前に、ヨーロッパヨシキリを好んで捕食するタカ科の鳥の「鳴きまね」をするのだ。

 英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の研究者2人からなるチームは、米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に発表した論文に「このタカに似た鳴き声は、仮親となる鳥の注意を巣の卵からそらし、自身の身の安全の方に向かわせることにより、托卵の成功率を高めている」と記し、そして、「その結果として、雌のカッコウはこの争いで『最後に笑う者』になるのかもしれない」とも書いている。

 托卵では、仮親自身の子が犠牲になるケースが多い。しかし、托卵の発覚は、後から産み付けられた卵が巣から蹴り出されることにつながるため、カッコウはこれを回避するための巧妙なトリックを複数習得している。卵の色合いを托卵対象の鳥の卵と一致させることもその一つだ。

 また、産卵が「驚くほど秘密裏かつ迅速に」行われることについても研究チームは指摘している。

 しかし、産卵直後に「鳴き声を上げる」ことで発覚の危険を冒すことにつながることから、科学者らはその理由を理解することにこれまで苦慮していた。

 今回の研究でケンブリッジ大のチームは、恐怖によって仮親の気をそらすことがその目的だとする仮説を立てた。

■「クワックワックワッ」

 この説を検証するため、研究チームはカッコウの雄と雌、タカ科の鳥ハイタカと、無作為に選んだ脅威を及ぼさない鳥のノバトのそれぞれの鳴き声を録音した音声を再生し、ヨーロッパヨシキリに聞かせた。

 振り子時計で使われている「カッコウ」という特徴的な鳴き声を持つのは雄だけだ。雌は笑い声にも似た「クワックワックワックワッ」という声を上げるが、これとハイタカの「キッキッキッキッ」という鳴き声とはその周波数において似ていなくもない。

 ヨーロッパヨシキリは、タカの鳴き声に対して示すのと同程度の警戒感を持って雌のカッコウの鳴き声に反応し、抱いている卵から注意をそらすことを、研究チームは観察した。

 一方で、雄のカッコウとノバトの鳴き声には反応を示さなかった。

 研究チームはさらなる実験で、ハイタカに捕食されるがカッコウの托卵の対象にはならない鳥のシジュウカラにも、カッコウの雌の鳴き声を再生して聞かせた。

 その結果、カッコウは何の脅威も及ぼさないにもかかわらず、シジュウカラの場合でも「雌の鳴き声がハイタカの鳴き声と同程度に警戒感を増大させた」と、研究チームは述べている。

 人の耳には、カッコウとハイタカの2つの鳴き声は全く別物に聞こえるけれども、シジュウカラとヨーロッパヨシキリはどちらもカッコウの雌の鳴き声をハイタカだと勘違いしていることを、今回の実験結果は示唆していると、研究チームは結論付けた。

「カッコウの雌は、卵を守ることと自分の身を守ることの間にある根本的に両立し得ない関係性(トレードオフ)を巧妙に操ることで、自身の托卵行動の成功率を高めていることを、今回の結果は示している」と、論文の執筆者らは説明している。
【翻訳編集】AFPBB News