「嵐の後って、空気がきれいになるでしょ? 瞑想は蓄積したストレスを焼くイメージ。心身共に焼いて空っぽにして生まれ変わっていくのです」と語る相川圭子氏

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ストレス社会で生き抜くビジネスマンを中心に“心を整理する技術”として注目を集める「瞑想(めいそう)」。その求道者として世界中で最も尊敬される日本人女性、ヒマラヤ秘教継承者の相川圭子氏をご存じだろうか。

彼女は世界でたったふたりしかいない、インド政府公認のシッダーマスターのひとりだ。シッダーマスターとは「ヒマラヤ大聖者」を意味し、「究極のサマディ(悟り)」を開いたものにだけ与えられる称号。相川氏はヒマラヤの秘境で死を超える修行を行なった末、究極の悟りを手に入れたという。

「ヨガの母=ヨグマタ」とも呼ばれる相川氏から、現代人にも役立つ究極の悟りについて話を伺った。

* * *

―ヨガを始めたきっかけはなんでしょうか。

相川 10代の頃は体が弱かったので、ほかのスポーツよりも体を動かさないヨガを通して鍛えてみようと思ったんです。でも、今から50年前はヨガなんてまったく知られていない時代でしたから、奇人変人扱いされましたね(笑)。関節の動かし方や呼吸法のひとつひとつをほとんど独学で勉強しました。

―そんな大変ななか、ヨガにはまったのはなぜですか?

相川 もともと、性格が追求型なんでしょうね。熱心に研究していくうちに、ヨガの深い教えにはまっていきました。人にヨガを教えるようになり、本を書くようにもなりました。

今からちょうど30年くらい前でしたかね。インドからヒマラヤ聖者のパイロット・ババジという方がTV出演のため日本に来られたんです。私もある程度、名が知られていたので「取材を手伝ってください」ってTV局から声がかかりました。その手伝いが終わった後、パイロット・ババジから「修行に来ないか?」と誘われて、ヒマラヤに行くことにしたんです。

―迷わなかったんですか!?

相川 あまり迷いませんでした(笑)。それまでヨガやヒーリングなど幅広く研究していて、インドや欧米、日本では学び尽くしてしまったんですよ。体も鍛えられていましたし、標高5千mに行っても具合が悪くならない自信があったんです。心も体も準備は整っていました。

―ヒマラヤでは、どのような修行をされたんですか?

相川 最終段階では、ただ座って瞑想。その前にいろいろな秘密の行をします。太陽や月の修行、さらに音や光などの修行です。それらを超えて神と一体になっていきます。

そもそも、なんのために瞑想するのか、少し説明しますね。

私たちはお母さんのおなかの中で命をいただいて、おなかを出たら人に優しくしたり尊敬したりする愛の力が働いて、最終的にすべてを達観する素晴らしい人間に成長していきます。この3段階の生命サイクルをインド的にいうと、まずは創造のブラフマー、それを維持する愛のビシュンヌ、最後に悟りのシヴァと分けられます。

シヴァは「物質の源とエネルギーの根源とのユニオン」という意味。つまり、すべてを生み出す源の存在です。人が生まれて生きる中で抱えた心配、恐れ、憎しみ、批判の心をすべて浄化して新たに生まれ変わり、純粋な状態にするのがシヴァ。これこそ、新しい力を蓄えて調和の取れた究極の状態です。シヴァには「破壊」という意味もあるんです。

嵐が来た後って、全部一掃されて空気がきれいになるでしょ? 瞑想もただ座るんじゃなくて、浄化して蓄積されたストレスを焼くイメージなのね。心身共に焼いて空っぽにして生まれ変わっていく。

―相川さんは4日間飲まず食わずの公開サマディをこれまでに18回も行なったそうですが、修行中はどんな感覚なのですか?

相川 深い瞑想に入ると、すべてが変容して本当の自分に返れるのです。瞑想はバッテリーを充電するようなもの。新しく蘇(よみがえ)って生まれ変わる感じです。瞑想を生活の中に取り入れると、常に頭が明晰(めいせき)になる。愛が満ち、許せる人になり、恐怖心も消えて、豊かな人生を送れます。しかも若く見られます(笑)。

―本書のタイトルにもなってる「八正道」という言葉について、詳しく教えてください。

相川 八正道とは、ブッダの教えの要となる考え方です。この考え方の源流には、今から5千年ほど前から存在する、ヒマラヤ聖者の教えがあります。ヒマラヤ秘教は心と体を整え、感覚を清めて精神を統一し、最高の人格になる教え。私はその教えに従ってヒマラヤの山奥で修行を重ね、真理を悟りました。

八正道とは、端的に言えば、「人間が純粋になる生き方の実践ガイド」です。平和で愛と気づきをもって生きるということは、過去のイヤな体験で得たフィルターで物事を判断しないで、心を浄化して、透明な目や耳という感覚で、あるがまま見たり聞いたりするということ。それを正しい道というのです。宗教的な色合いは薄く、あくまで「幸せに生きるための実践的な悟りからの智慧(ちえ)」ですね。

例えば、モノを盗まないとか、暴力をしないとか。一見、当たり前のことと感じるかもしれません。私もそんなことは当たり前のことと思っていたわけです。ところが、修行も進んでヒマラヤの山奥で深い瞑想の静寂に入ろうとしていたとき、一匹の蚊が私の周りにぶんぶん飛んできて邪魔をしたんですね。その瞬間、「こらっ、うるさい!」って、それを排除したいと思ったのですよ(笑)。

そのとき、「このことか!」と気づきました。普段はどんなにうるさくても何かを嫌いだとか、邪魔だとか思わないんですが、そういう感情は追い詰められたときに現れる。だからこそ、負の感情を全部捨て、空っぽの純粋な心で正しく現実を見る必要があるんです。

―現代社会に生きる我々は何から始めるべきですか?

相川 まずは、人を尊敬して自分も尊敬すること。あとは人に感謝することですね。でも、一番薦めたいのは「ヒマラヤシッダー瞑想」です。ヒマラヤ聖者の恩恵によって、最速で変容し浄められるので、心が楽になり、今という中庸にいられるようになります。宇宙的愛が湧き出て、自然に相手を尊敬できるんですよ。

この本(著書『八正道』)には、私の実体験から得た知識を書いています。皆さんはヒマラヤの山奥に行ったり、50年も修行したりする必要はありません。この日本で、ヒマラヤの瞑想修行が今できるのですよ。まずご自宅で読むだけでいいですよ(笑)。

(取材・文/舟崎泉美 撮影/山上徳幸)

●ヨグマタ 相川圭子(あいかわ・けいこ)

女性で史上初のシッダーマスター。仏教やキリスト教の源流である5000年の伝統を持つヒマラヤ秘教の正統継承者。1986年、伝説の大聖者ハリババジに邂逅。標高5000mを超えるヒマラヤの秘境で死を超える究極のサマディ修行を成就。「最終段階のサマディ」に到達、究極の真理を悟る。現在までに計18回、インド各地で世界平和と真理の証明のために公開サマディを行ない、インド中の尊敬を集める。2007年、インド最大の霊性修行の協会「ジュナ・アカラ」より、最高指導者の称号「マハ・マンダレシュワリ(大僧正)」を授かる。日本では各種研修と瞑想合宿を開催

■『八正道』(河出書房新社 1300円+税)

約2500年前にブッダが唱えた「八正道」を、世界でたったふたりのシッダーマスター(究極のサマディに到達したヒマラヤ大聖者)のひとりである相川圭子氏が解説。著者自身の実体験をもとに、「正しさとは何か」を8つのステップでわかりやすく教えてくれる。ヒマラヤの秘境で修行し、最高の悟りを開いた著書の言葉は、生きづらさを感じる現代社会人の悩みを次々と解決へと導いていく―。現代「八正道」の決定版ともいえる一冊