守備陣の吉田麻也への依存度は高い。万が一の事態も想定すれば選手層の拡充は急務だろう【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

総合力が問われるサウジ戦。メンバー入れ替えか

 日本代表は現地時間5日、ロシアW杯アジア最終予選でサウジアラビア代表と対戦する。すでにW杯出場権を獲得している日本にとっては消化試合だが、サウジアラビアにとっては生きるか死ぬかのビッグマッチ。ホームの大声援を背に猛然と襲いかかってくるだろう。そこで試されるのはサムライブルーの総合力。W杯に向けて、チームの総合力を底上げするための戦いになる。(取材・文:元川悦子)

 2018年ロシアW杯への新たな一歩となるアジア最終予選ラストマッチ・サウジアラビア戦(ジェッダ)がいよいよ現地5日に迫っている。相手が本大会出場を賭けて死に物狂いで挑んでくることに加え、夜でも気温30度超・湿度70%という酷暑のため、日本にとって非常に難易度の高いゲームになるのは間違いない。
 
「昨日のバス(移動バスが来ずタクシーに分乗して練習場へ向かったアクシデント)もあったし、これから試合まで何かが起こるかもしれない。試合に入ってもいろんな障害が出てくる可能性がある。レフェリー含めてクールに冷静に対応しなきゃいけない」と守備の要・吉田麻也(サウサンプトン)が慎重な姿勢を示した通り、試合運びやペース配分、ゲームマネージメント力を含めた総合力が問われることになる。

 これらはロシアでのW杯本大会を戦い抜くうえで、確実に身に着けておかなければならない部分。6万人超の大観衆が集結すると見られるキング・アブドゥラー・スタジアムの完全アウェイの中で、頭脳的な戦いを見せてほしいものだ。

 サウジアラビアとの最終決戦に挑むにあたって、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がどのようなメンバーを選択するのかは注目すべき部分である。「どのチームで臨もうかというのは決定的に決めたわけではない」と指揮官は前日会見で話したが、8月31日のオーストラリア戦(埼玉)で見せた高いパフォーマンスを維持したい意向は強い。

 それを前回の控えだった本田圭佑(パチューカ)や柴崎岳(ヘタフェ)がで堂々とやり通せるか否か。そのあたりを入念にチェックするのではないだろうか。

顕著な吉田への依存度。W杯へ要改善

 守備陣はGK川島永嗣(メス)、DF(右から)酒井宏樹(マルセイユ)、吉田、昌子源(鹿島)、長友佑都(インテル)というのが最近2試合の基本ユニット。だが、センターバックはチーム唯一のアジア予選全試合フル出場を果たしている吉田への依存度が極めて高い。「センターバックの層を厚くすることは、W杯に向けてというか、今後の日本サッカーのためにも非常に大事なポイントだと思う」と背番号22自身も危機感を口にしているだけに、指揮官があえてここでフレッシュな面々を抜擢する可能性もゼロではない。

 183cmの昌子と183cmの三浦弦太(G大阪)はいずれも読みとカバーリングに長けたタイプであり、186cmの植田直通(鹿島)は昌子が「極端なファイター気質というか、つぶし屋」と評する通り、ヘディングの競り合いに絶対的な強さを誇るDFだ。

 組み合わせ的には昌子・植田コンビ、三浦・植田コンビならお互いにないものを補完し合える。昌子・三浦コンビはより連携しながらチャレンジ&カバーを繰り返して組織的に守る形になるはずだ。「弦太は僕に近いタイプなので結構合うかもしれない」と昌子も前向きに語っている。

 このいずれかのコンビを完全アウェイのサウジアラビア戦で試すのは非常に大きな国際経験値を養うことにつながるだろう。吉田も「新しい選手も何人かトライすると思うし、こういう経験ができるのは成長のためにいいチャンスじゃないかと思う」と新たなチャレンジを前向きに受け止めていた。

 ハリルホジッチ体制発足後、日本のセンターバックは吉田と森重真人(FC東京)が軸となり続けてきた。2015年6月のシンガポール戦(埼玉)でW杯アジア2次予選がスタートして以来、予選のピッチに立ったのは、彼ら2人に加えて槙野智章(浦和)、丸山祐市(FC東京)、昌子の3人だけだ。

若きDFたちは奮起を。サウジ戦は大きな経験に

 槙野はシンガポール戦や2次予選の重要な節目だった2015年10月のシリア戦(マスカット)で吉田とコンビを組み、指揮官の高い評価を得ていたが、徐々に森重の序列が上がっていった。そして2016年10月のオーストラリア戦(メルボルン)で左サイドバックに抜擢されたのを機に、最近は長友佑都(インテル)のバックアップという位置づけが中心になっている。丸山は同じオーストラリア戦で終盤出場しただけで、今季に入ってからは招集を見送られていて、代表復帰への道は険しそうだ。

 今は昌子が吉田に続く2番手になっているが、後を追う植田と三浦が代表歴なしの状況ではこの先が思いやられる。10月以降のテストマッチで2人、あるいは予備登録に入っている鈴木大輔(ヒムナスティック・タラゴナ)、岩波拓也(神戸)らが試されるかもしれない。ただ、彼らも世代別代表での国際大会は経験してきたものの、A代表出場歴は前者が2試合、後者はゼロと実績の乏しい状態に変わりない。今回、植田や三浦が貴重な真剣勝負の場でプレーし、経験値を高めていくことは、今後を考えても大きなプラスとなるはずだ。

「代表にもだいぶ慣れてきましたし、出たらやってやろうという気持ちは常に持っている。この前のW杯出場を味わって、本番に出場したいという思いは強くなりました。対人面やフィードだったりは自分の武器だと思っているんで、それを代表でも出していけたらいい」と21歳の三浦は力強くコメントしていたが、2011年アジアカップ(カタール)でデビューした吉田が当時22歳だったことを考えると、決して若すぎるわけではない。

 吉田が出場することになったとしても、パートナー候補筆頭の昌子は先輩に依存してばかりではいけない。自分から守備陣を統率する姿勢をこれまで以上に強く押し出していくべきだ。吉田頼みのディフェンスラインから抜け出すこと。その大きな命題を克服すべく、改めて若いDF陣に奮起を促したい。

(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子