愛玩犬とは

犬にはさまざまな種類がありますが、現在、ジャパンケンネルクラブでは純血種を10のグループに分けて登録しています。犬種は牧羊犬、使役犬、テリアなどのグループに分かれていますが、そのうちの1つが「愛玩犬」です。

愛玩犬は「コンパニオン&トイ・ドッグ」と呼ばれ、家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬と定義されています。代表的な犬種は、次のとおりです。

マルチーズチワワシーズープードルパピヨンキャバリアキングチャールズスパニエル

その他の犬種も合わせて、計25種が愛玩犬として登録されています。意外なことに、ポメラニアンは愛玩犬グループに入っていません。ポメラニアンは「原始的な犬・スピッツ」グループに分類されており、番犬および家庭犬を目的とした犬種とされています。グループとしては、日本犬と同じなのですよ!びっくりですね。

愛玩犬が他のグループと大きく違うところは、猟犬や番犬としての役割をもたない点です。もっぱらペットとしてかわいがるために作られた犬種であるのが特徴です。

愛玩犬の歴史

犬は1万4千年〜1万5千年前ごろに家畜化されたと言われています。気の遠くなるような昔ですが、時は中石器時代でした。それほど遠い過去のことですから、犬の家畜化については、遺跡から発掘された遺骨などから推測された仮説の状態です。

おそらく、人間の集落の残飯処理係や番犬、猟犬として飼われるようになったのではないかと言われています。そのころから犬をかわいがる人間もいたでしょうが、ペットとして飼うゆとりはなかったと思われます。

犬とともに暮らす際、人懐っこい個体を選んで繁殖させてきたと考えられます。そして次第に現在の犬のもととなるさまざまな毛色や特徴が生まれ、原始的な犬が発生することになりました。人間は、各地で狩猟などの目的で犬の性質を固定するための繁殖を行い、さまざまな犬種を生み出しました。

純血種の管理を目的とした犬種登録団体は、1873年に設立されたイギリスのザ・ケネルクラブが最古です。そこで、純血種の認定や分類が行われることになりました。もちろん、純血種だけが愛玩犬というわけではありませんが、参考までに、最古の愛玩犬と言われるマルチーズの歴史を見てみましょう。

マルチーズはなんと紀元前1500年ごろに、地中海に持ち込まれました。その名の由来となったマルタ島で、当時からすでに船乗りたちのペットとしてかわいがられていたようです。その後、ヨーロッパに広まり、15世紀のフランスでは貴婦人たちの抱き犬として人気を博しました。ドレスをまとった貴婦人が、マルチーズを抱いている絵画を見たことのある方もいるのではないでしょうか。19世紀末には、イギリス市民の間でも大流行しました。

このように、愛玩犬は、姿の愛らしさや美しさ、体の小ささから、かわいがるために人々が手にした犬だったのです。

愛玩犬の人気と問題点

ペット保険の会社が、新規加入した0歳の犬の数に基づいて、人気犬種のランキングを発表しています。2015年の1年間で最も人気のあった犬種ベスト3は、以下のとおりです。

1位:トイプードル2位:チワワ3位:ミックス犬(10kg以下)

いかがでしょうか。ペットショップの店頭で頻繁に見かける犬種と、見事に一致していませんか?つまり、今最も「需要」のある犬種、「大量生産」されている犬種と言えます。

番犬をメインとした昔と違い、現在では住宅事情や犬に対する価値観の変化により、愛玩犬に分類される犬種が人気です。それで、ペットショップにも上に挙げたような犬種の子犬がたくさん並ぶわけですが、その裏にはパピーミルに代表される悪質な繁殖業者と、子犬を品物同然に扱うオークションと流通が存在します。

また、「愛玩犬」と呼ばれるために、まるでぬいぐるみやファッション小物を扱う感覚で、犬という生き物の習性を理解せずに、飼育している飼い主もいます。人ごみの中を連れ回したり、「お散歩はほとんど必要ありません」というペットショップ店員のセールストークを鵜呑みにして、散歩という犬の最大の楽しみを理解していなかったりすることもあります。

「愛玩犬」という言葉は、あくまで犬種の分類上の言葉ととらえて、あくまで「犬は犬である」ということを重視する必要があります。

まとめ

犬種のグループとしての愛玩犬について、述べてきました。ですが、今やほとんどの人が、犬種にかかわりなく、かわいがるために犬と暮らしているのではないでしょうか。そういう意味では、ほとんどの犬が「愛玩」目的で飼育されていると言えます。

「愛玩」の辞書的な意味は、「愛でたり、大切にかわいがったりすること」です。わたし達は犬のかわいい姿や精悍な姿を愛で、それぞれのやり方で犬を大切にし、かわいがります。犬を大切にし、かわいがる際には、くれぐれも人間目線ではなく、犬の習性を理解し、ニーズを満たすことを心がけたいものです。

「愛玩」は、ともすれば、おもちゃやぬいぐるみのように犬を扱うことにつながりますので、犬という生き物にとってのクオリティ・オブ・ライフを考え、正しくかわいがって幸せな犬生を送らせてあげられるよう、お互いに気をつけていきましょうね。