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 デジタル広告市場の規模が大きくなるに従い、従来のクリックやコンバージョン重視から広告表示による価値毀損の問題が重視されるようになり、その対策に注目が集まっている。まだ国内企業が正解への道筋を模索する中、アドベリフィケーション分野で最大手であるインテグラル・アド・サイエンス・ジャパン(以下、IAS)のツールを活用し、ブランドセーフティーを担保した例として、ネスレ日本株式会社の取り組みがある。その取り組みについて、広告主・広告代理店・テクノロジーベンダーのそれぞれの視点から語ってもらった。

■ブランドセーフティーの向上が効率改善につながった
ネスレ日本 村岡慎太郎氏(写真左)
電通デジタル 富田匠氏(写真中央)
インテグラル・アド・サイエンス・ジャパン 山口武氏(写真右)

押久保:今回ネスレ日本さんは、IASさんのソリューションを利用して「ブランドセーフティー」に取り組まれたとのことですが、その概要はどういったものになるのか、まず教えていただけますか。

村岡:昨年からネスレのスイス本社では、デジタルにおけるブランドセーフティーや、デジタルメディアの質について話が議論されるようになりました。そうした中で2016年7月に、“ビューアビリティ”、“アドフラウド”、“ブランドセーフティー”の3項目に関してのガイドラインができまして、日本でも同年10月頃から取り組みを開始しました。今はさらに強化している段階です。

 お金を払って掲出した広告によって、自分たちが大事にしてきたブランドを毀損するというのは本来ありえない話なので、そこに会社としてしっかり取り組もうとしている背景があります。

富田:今回の事例でおもしろいのは、ブランドセーフティーを高めた結果、広告の効率も改善していったという点ですよね。ブランドセーフティーを担保して配信していくことで、良い広告面に出るようになるのでインビュー率が高まり、CTR、CPCも改善していく。他の国内企業にとって、デジタル広告を運用していく上でひとつのベンチマークになったと思います。

村岡:ありがとうございます。IASさんが提供されている、「Pre-bid(プリビッド)」の技術が改善をより進めてくれました。データを可視化した後、得たデータで何をしていくのかまで示してくれるパッケージは他にはないと思います。

■プリビッドで事前にブラックリスト化

押久保:山口さん、「プリビッド」とはどういう技術になりますか。

山口:広告入札前に配信メディアのクオリティデータを検証し、効率良い入札をサポートするシステムです。弊社がこれまでに蓄積したデータをDSPとつなぐことにより、入札前にDSP側で入札URLを参照し、お客様の求める条件に合致しないURLは排除するので、見合ったものだけに入札・配信していただけます。

 弊社以外のベンダーからも類似のソリューションが出ていますが、この入札前ターゲティングの技術を初めて提供したのが当社のエンジニアです。村岡さんが言ってくださったように、データを可視化するだけでなく、そこからどう改善していけば良いのかの道を作るために作られたものになっています。

村岡:従来だと広告配信後にブラックリストを生成したり、テキスト化していく作業が発生しますが、「プリビッド」を使えば事前に配信を阻止できるのでそうした面倒な作業がなくなり、より付加価値の高い仕事に時間を回せます。

 また技術としてはこれまでに、バナーが広告枠に出る瞬間、違う広告に切り替えるようなソリューションはありましたが、それが一瞬であっても結局配信してしまっているわけです。そうしたことも改善してくれましたよね。

山口:弊社にも代替広告を出すようなソリューションはあるのですが、コスト効率化で考えるとプリビッドが一番効率的に改善していけるソリューションだと思います。それとボタンひとつで変えられる手軽さもかなりあるかと。

富田:オペレーションがすごいシンプルですよね。IASさんは世界中に存在しているURLに対して、ブランド毀損があるかないかのスコアをもっている点がすごいと思います。第三者的にそういうパブリッシャーのコンテンツを評価するデータをもっているところも強みだなって。

押久保 剛(編集部)[聞]、川口 紘[写]、畑中 杏樹[著]