郊外に比べて都市部ほど気温が高くなる現象を「ヒートアイランド現象」と呼びますが、この主な原因とされるアスファルトやコンクリートと共生するための「スポンジシティー」構想がドイツ・ベルリンでは都市部の開発に取り入れられているそうです。

Berlin is Becoming a Sponge City - YouTube

高層ビルなどの建物の多い都市では、コンクリート・ガラス・スチールでできた人工物が多く存在します。



人工物は熱を吸収し……



水をはじくため、「ビル熱」や「照り返し」などで暑い夏がさらに暑く感じられるようになってしまいます。



そんな都市部の熱問題に対して、ドイツのある都市で一風変わったアプローチがスタートしています。



そのアプローチというのは、雨水をうまく活用するという、「スポンジシティー」構想です。



「スポンジシティー」における基礎的な考えは、「雨水を都市部に残しておく」というものです。なぜ雨水を残しておくのかというと、水が蒸発すると、それに応じて周囲は涼しくなるからです。



ベルリンの「スポンジシティー」構想に携わる建築家のカルロ・ベッカーさんは、「我々にとって雨水はどこか他の場所へ流すだけの資源ではなく、街に残すべきものなのです」と語っています。



自然環境では、雨水は地面や植物にしみこみ……



そのほとんどが蒸発します。多くの水分が蒸発することで、周囲は涼しく感じられるとのこと。



しかし、都市部は地面も建物もコンクリートやガラスに覆われているため、自然環境によるクールダウンシステムが崩壊しています。ほとんどの水がコンクリートに染み込むことができず、パイプを伝って別の場所へ運ばれてしまうというのが都市部の現状です。



それに対して「スポンジシティー」構想では、雨水を地面に残すことで、自然環境における雨水の循環を模倣し、都市部の温度を下げようとしています。どうやって水を都市部に残すのかというと、建物の表面を緑で覆い、道路の脇などに溝を掘って雨水を溜めておけるようにするそうです。



これにより、通常の都市よりも多くの水分を保てるようになり、都市部の温度を下げられるようになるというわけ。



ベルリン東部のルンメルスブルクは、20年前から「スポンジシティー」構想の大規模事例となっています。



「緑の屋根を厚みを6〜8cmに拡張し、水の流れは真ん中にある中庭へ向かうようにしています」と語るのは、都市水文学者であるハイコ・シーカーさん。



シーカーさんが語っているのは、以下のようなコの字型の建物でどのようにスポンジシティー構想を取り入れているのかについて。



「建物の真ん中にある中庭の下には車庫があり、地面と車庫の間には約80cmの土の層があります。この土の層はスポンジのようなもので、大雨の時でも建物に注ぐ水を吸ってくれます。そして土が吸った水を植物が使い、最終的にはすべての水が蒸発するようになっています」とシーカーさん。



さらに、道路脇には小さな溝が掘られており、地面に降り注いだ雨水が流れ込むように設計されています。



シーカーさんはスポンジシティー構想を取り入れたルンメルスブルクの街並みについて、「熱い夏の日だと、他の都市部と比べてこの場所は本当に涼しく感じられるでしょう。なぜなら水分が蒸発しているからで、これは『自然のエアコン』と言えるかもしれません」と語っています。



なお、ルンメルスブルクはスポンジシティー構想の事例のひとつであり、ベルリンのその他の地域にも似たような構想の下で建設された区画が存在するそうです。



しかし、ベルリンは完璧なスポンジシティーというわけではありません。2017年夏の中頃、過去110年間の観測史上最大の大雨がベルリンを襲い、多くの場所で浸水被害が起きました。



「都市のための気候適応対策は理解するだけではなく、実装する必要があります。そのためには政治的な意志が必要となります」とベッカーさん。



なお、ベルリンの地方議会では豪雨対策のためにスポンジシティー構想を受け継いだ新しい設備を導入することが決定されています。