音声アシタント機器の市場を支配している米アマゾン・ドットコムは、相次いで市場参入する競合企業を振り払うべく、この分野の人材を増やし、技術開発を急いでいると、米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。

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市場シェアはアマゾンが断トツ

 アマゾンが、AI(人工知能)を搭載するスピーカー型音声アシスタント機器「Amazon Echo」を発売したのは2014年11月。当初、この市場には、アマゾンの機器しか存在せず、同社は着実にその販売台数を増やしてきた。市場調査会社の推計によると、アマゾンのEchoシリーズは昨年末までに累計1100万台が売れ、その米国における市場シェアは7割以上になる。

 しかし、こうしたアマゾンの成功に追随する形で、米グーグルや米アップルなどが、自社製品やパートナー企業との協業による製品を市場投入したり、発表したりしている。

(参考・関連記事)「アップル、ついに音声アシスタント機器市場に参入」

Alexa部門の人員を数百人規模で拡大

 こうした中、アマゾンは、自社のAIアシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」の技術開発を進めるべく、技術者を数百人規模で増やしているという。

 同社は詳細を公表しておらず、現在、Alexa部門がどの程度の規模なのかは分からない。しかし、ビジネス向けSNS「LinkedIn」にユーザー登録しているAlexa関連のアマゾン社員は、3000人近くいる。

 またアマゾンの求人情報サイトで紹介されているAlexa関連の求人件数は、1500近くあると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

eコマース関連のデータには強み

 アマゾンにとってAlexa部門の人員拡大の目的は、Alexaの利用を増やし、より多くのデータを集めること。同社はそうすることで、Alexaの機械学習効果を高めようとしている。

 アマゾンのライバルは、検索サービスや、スマートフォン用OS(基本ソフト)を介して、利用者からデータを集め、サービスの精度を高めている。一方でアマゾンは、eコマースに強みがあり、この分野のデータ収集に関しては断然有利だ。しかし、アシスタントサービス全般となると同社の技術は未熟だと言われている。

 例えば、米国のネットマーケティング会社ストーンテンプルが行った大手4社のサービスを対象にした調査によると、一般的な質問に対する回答率は、グーグルのサービスが最も高く、その正答率もグーグルが他社を上回っていた。これに対し、アマゾンのAlexaは回答率が2割程度と、4社の中でも最も低かった。

成否のカギを握るのはユーザー規模

 ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンのAlexa部門に新たに配置された技術者は、新機能を開発したり、新たなAlexa対応機器の利用を促進したり、アルゴリズムの改良で機能向上を図ったりしている。

 こうして同社は、対応機器を増やすことを狙っている。例えば、より多くの家電製品や自動車にAlexaを組み込んでもらいたい考えだ。

 こうして見ると、この市場は結局のところ、利用者数が成否のカギを握ると言えそうだ。利用者数が増えれば増えるほど、より多くのデータが集められる。すると、サービスの精度が向上し、顧客満足度も向上する。結果として、利用者数はさらに増えていく。

筆者:小久保 重信