トゥルチュクの実

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国連安全保障理事会が8月5日に採択した制裁決議2371号は、北朝鮮の一番の稼ぎ頭である石炭などの地下資源と、海産物の輸出を禁じた。

制裁により深刻化する外貨不足を打開するために、北朝鮮当局が目をつけたのは植物だ。そこらじゅうに自生している薬草、アシ、そして大麻を刈り取っては中国に輸出している。これなら制裁にもひっかからないというわけだ。

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そんな中で、改めて注目を集めているのが果実だ。

ブルーベリーの一種「トゥルチュク」(和名クロマメノキ)は北朝鮮の名産品の一つで、酒、ゼリー、ジャムなどに加工され、輸出されている。また、北朝鮮を訪れる外国人観光客の定番の土産でもある。

旬を迎えた両江道(リャンガンド)の市場には、トゥルチュクが大量に出回っている。

これらは、三池淵(サムジヨン)、白岩(ペガム)、大紅湍(テホンダン)など、周囲の高原地帯から入荷したものだ。

目の健康に良いとされる成分のアントシアニンが多く含まれていることもあり、健康志向の強まる中国の消費者の間で人気が高く、中国の業者が大量に買い付ける。

業者は市場だけではなく、各地に設けられた臨時のトゥルチュク販売所、さらには地域の農家を一軒一軒訪ね歩き、大量に買い付ける。その方が市場で買うよりも安く、農家もわざわざ市場まで売りに行く手間が省けるため、双方がほくほく顔だ。

当局は、外貨収入を増やすために多くの市民をトゥルチュクの採集に動員している。

女盟員(朝鮮社会主義女性同盟の会員)はもちろん、学校の生徒や労働者までトゥルチュクを摘みに行かされる。

当局に課されたノルマは1人あたり60キロから100キロ。天候が良くて実のなり方がよければ、1日20キロは摘めるため、1週間もあればノルマを達成できる。しかし、不作ならば1日5キロが限界だ。

幸いにして今年は実のなり方がいいとは言うが、トゥルチュク摘みは年々苦しくなっている。動員された人々以外にも、カネになるからと個人的に摘みに来た人が多く、取り合いになるからだ。

昨年は、恵山市の女盟員、職盟員が白岩までトゥルチュク摘みを行ったが、ノルマを満たすのに12日もかかったという。

より効率的にトゥルチュクを摘むために、人の少ない山奥に小屋を建てて寝泊まりする人もいる。

最近の傾向は、入荷量とは関係なく年々値段が上昇していることだ。

今シーズンのトゥルチュクの値段は、1キロ3万3000北朝鮮ウォン(約430円)。凶作だった昨年とくらべて5割増しになり、一昨年と比べると約3倍もの値段がついているという。

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