サウジ戦の予想スタメン。中盤はアンカーに山口を据えて、インサイドハーフには井手口と柴崎を並べるか。

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 9月5日、日本代表はロシア・ワールドカップ・アジア最終予選の最終節、アウェーのサウジアラビア戦に挑む。
 
 すでに前節のホーム・オーストラリア戦で本大会出場を決めているだけに、今回のサウジ戦は結果を問われない、いわば消化試合と位置付けることができる。ベストのメンバーを揃えず、テスト色の濃いものとなっても不思議ではない。
 
 ただし、チームを率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「私は勝つことが大好きです」と語るように、“超”がつくほどの負けず嫌いだ。負けてもいいから代表実績の少ない選手に経験を積ませるという考えは、恐らくは、ない。
 
 また、サウジ戦は最終予選を締め括る試合であると同時に、ロシア行きのチケットを手にしている日本にとっては、本大会に向けた新たなスタートとなるゲームでもある。黒星で大事な一歩目を踏み出すわけにはいかない。やはり求められるのは勝利のみだ。
 
 サウジ戦のスタメンも、大一番となったオーストラリア戦と大きく変更はないと予想した。「やるべきことに集中して、試合に臨みたい」と意気込む川島永嗣が守護神で、最終ラインの4人は、右から酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都とお馴染みの顔ぶれが並ぶだろう。
 
 最大の焦点は、怪我で離脱した長谷部誠が不在の中盤だ。3人の編成は「トップ下+2ボランチ」か「インサイドハーフ2枚+アンカー」の2パターンがあるが、「監督から、オーストラリア戦が(今後の)代表のベースとなるという話があった」(槙野智章)というだけに、逆三角形の形が有力か。
 
 長谷部の代役を務めるのは、山口で決まりだろう。敵地での戦いとなった今年3月のUAE戦や同6月のシリア戦でも、長谷部不在時には山口がアンカーを任されている。
 
 インサイドハーフの一枠は、井手口陽介。代表デビューとなったシリア戦からイラク戦、オーストラリア戦と連続出場しているダイナモは、今のチームにとってはもはや不可欠な存在と言えるかもしれない。
 
 そして、本来なら井手口の相棒は山口となるが、アンカーに収まっているから使えない。インサイドハーフのもう一枠には柴崎を抜擢したい。より攻撃面でその才能を発揮するタイプだが、スペイン移籍で守備力もより高まった印象で、攻守両面に関わるこのポジションを十分にこなせるはずだ。
 
 前線3枚の中央は、岡崎慎司。ファーストチョイスの大迫勇也は、痛めていた右足首は「治りが本当に早くて」とオーストラリア戦のピッチに立ったが、前線で何度も身体を張ったあの激闘の後では、それなりにダメージがあるはず。ここは大事を取るという指揮官の判断があってもおかしくはない。代わりに先発に名を連ねるのは岡崎だろう。
 
 両ウイングは、右が本田圭佑、左は原口元気か。
 
 是が非でも勝利が欲しいサウジは、相当に前掛かりとなって日本を攻め立てるはず。前に出る守備より、引き気味に構える守り方がベターで、球際でも激しさが増す以上、フィジカル勝負では本田が必要だ。痛めていた右ふくらはぎの状態は気がかりだが、レギュラー奪還に燃える男の意地を見せてほしい。
 
 左は、オーストラリア戦で先発した乾貴士のプレーがやや重かった印象だけに、この試合で途中出場と体力的には問題ない原口を起用したほうが得策だ。前回対戦でもゴールを決めているだけに、良いイメージを持って試合に入れるのではないか。
 
 ともすれば、モチベーションを保つのが難しいゲームかもしれない。当日は、一般市民にスタジアムが無料開放されて完全アウェーの環境が予想され、日本にとってはかなり厳しいシチュエーションになるだろう。
 
 我慢の時間が長く続くかもしれないが、昨年10月のアウェー・オーストラリア戦のように、割り切った守備から一瞬の隙を突く戦い方は経験済み。相手や状況に応じてベストな戦略・戦術をチョイスし、結果を引き寄せるハリルジャパンの真骨頂を見せたい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)