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米労働省が9月1日に発表した8月雇用統計の主な結果は、(1) 非農業部門雇用者数15.6万人増、(2) 失業率4.4%、(3) 平均時給26.39ドル(前月比0.1%増、前年比2.5%増)という内容であった。

(1) 8月の非農業部門雇用者数は市場予想(18.0万人増)を下回る15.6万人増にとどまり、前月の18.9万人増から減速した。また、前月分と前々月分が合計で4.1万人分下方修正されており、「弱含み」の印象が拭えない。ただ、3カ月平均の増加幅は18.5万人と高水準を維持しており、雇用の増加基調に変化はないと見てよいだろう。

(2) 8月の失業率は市場予想(4.3%)を上回る4.4%に上昇した。労働参加率が前月と変わらず62.9%であった事を踏まえると、悪化したと言わざるを得ない。ただ、前月の4.3%は約16年ぶりの低水準であり、その歴史的低水準からの0.1%ポイントの上昇を問題視する必要はないだろう。なお、不完全雇用率(やむを得ずパート職に就いている者などを含めた広義の失業率)は3カ月連続で8.6%であった。

(3) 8月の平均時給は26.39ドルとなり、前月の26.36ドルから0.1%増加した。前年比では5カ月連続で2.5%増となった。なお、市場予想は前月比0.2%増、前年比2.6%増であり、賃金の伸びに関しては期待はずれに終わった格好だ。この結果からは、インフレ再加速の兆候はほとんど見られなかった事になる。

このように、米8月雇用統計は、予想を下回る項目が多く、全体的に見て冴えない結果であった。もっとも、米景気に減速懸念が生じるほどの弱さでもなく、米連邦公開市場委員会(FOMC)による年内の追加利上げ観測が後退する事もなかった。発表直後こそ、一時的に米長期金利が低下してドル売りを誘ったが、米8月ISM製造業景況指数の好結果もあって、長期金利もドルも切り返した。

市場は、FOMCが9月にバランスシート縮小を始めるとの見方を変えなかったほか、12月利上げの有無を判断するには時期尚早と判断したようだ。なお米労働省は、テキサス州を襲った大型ハリケーン「ハービー」は調査を終えた後に襲来した事などから、今回の雇用統計には目に見える影響を及ぼさなかったと報告した。この点も含めて、次回以降の雇用統計の結果が重要な意味を持つ事になりそうだ。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya