Q:初期の緑内障ですが、視野の欠損はほとんどなく、眼圧を下げる目薬を使用しています。実は私は太っていて、就寝中にいびきをかくし、妻によると呼吸が一時的に止まることがあります。無呼吸の治療はしていません。これと緑内障は関係があるのでしょうか。
(46歳・学習塾経営)

 A:睡眠時無呼吸症候群の患者が緑内障を発症する率は、正常な人の約10倍も多いことが以前から分かっていました。しかし、その理由がなかなか解明されていないままで、「眼圧が高くなることで視神経が圧迫され、ダメージを受けて緑内障を発症する」という説が有力でした。
 それが解明されたのが2016年で、北海道大学大学院研究科の新明康弘助教の研究グループが、この二つの病気の関係を解明する論文を米国の科学誌に発表したのです。

●運動習慣だけで眼圧が低下
 研究チームは、使用できるようになった新しいコンタクトレンズ型眼圧計を使って睡眠中に、5分ごとに30秒間の眼圧を測定し、さらに脳波、呼吸数、心電図、いびき、酸素飽和度などを測定。その結果、無呼吸発作時は気道閉塞によって息が吸い込めなくなるため、胸腔内圧はむしろ下がり、眼圧も下がっていることが判明しました。
 この調査の結果から、「無呼吸発作は眼圧と同時に血中酸素飽和度も下げるため、緑内障発症に影響している」との結論が導かれたのです。
 ご質問の方は、耳鼻咽喉科で睡眠時無呼吸の検査を受けたほうがよいでしょう。また、太っているとのことですが、肥満は睡眠時無呼吸症候群の原因の一つです。
 最後に緑内障に関する情報を紹介すると、九州大学が、1871名を対象に1週間あたりの運動回数、運動時間と5年間の眼圧変化について検討した研究があります。
 その結果は、「運動の回数の増加、運動習慣の延長にともない、眼圧は有意に低下した。運動習慣と眼圧低下との関連は他の危険因子の影響から独立することが示唆された」と報告されています。
 前述したように生活改善が求められますが、毎日運動として、最低1万3000歩ほど歩くようお勧めします。

山口康三氏(回生眼科院長)
自治医科大学卒業。眼科医、漢方内科医。食事、運動、睡眠などを改善する生活改善療法を指導し、眼科の病気や生活習慣病の治療に成果を挙げている。日本綜合医学会理事長。