保育士の待遇改善が叫ばれて久しい。特に給与の低さを指摘する声が強いが、これに加え、有給休暇取得の推進やワークルールの徹底に関しても、改善の余地がありそうだ。

保育士や幼稚園教諭の人材紹介サービスを運営するウェルクスは9月4日、保育士の有給休暇取得に関する実態調査の結果を発表した。保育士不足によって有給取得が難しくなっているほか、職場のローカルルールによって取得しづらい環境に置かれていると明らかになった。

「人員不足のため取れない。しかし、主任、施設長は旅行や私的な理由で普通に取っている」

調査は保育士や幼稚園教諭など計107人に実施。うち有給を付与されている103人分を有効回答とした。調査対象者の勤続年数は、7年以上が47%と半数近く、次いで1年〜2年未満の人が15%、2〜5年未満が13%となっている。

今までに有給休暇を取得したことがある人は86%と、取得経験自体は9割近くに上る。しかし、職場での有給取得のしやすさを聞くと、58%が「取得しにくいと思う」と回答した。

取得しにくいと感じている理由を複数回答で訊ねたところ、最も多かったのは「人員不足や忙しすぎるなどの理由で取得している余裕がないから」(49%)だ。その後「体調不良などやむを得ない場合しか取得できないから」(28%)、「上司や先輩が取得しないから」(18%)と続いた。

保育士不足は待機児童問題の要因と言われているが、子どもを持つ親だけでなく、保育士として働く人達の労働環境にも影響を与えているようだ。

「私的な用事で取得申請しても認めてもらえないから」という回答も17%あった。本来、取得時に理由を伝える義務は無いものの、職場のローカルルールとして従わざるを得ない空気になっているところもあるようだ。こうした状況に回答者は

「人員不足のため取れない。しかし、主任、施設長は旅行や私的な理由で普通に取っている。現場の人間が有給を取りたいと言うと、全員の前で嫌みを言われる。何のために取るのか、その日は駄目だとか、無理だとか言われ、嫌な顔をされてしまう」(35〜39歳/保育士・正規職員/女性)
「体調が悪くて休んだ翌日、園長に『有給は使わない方がいいよ』と言われた」(35〜39歳/保育士・正規職員/女性)

との不満を挙げている。

38%は有給の繰り越しすら無いと回答

こうした環境が影響し、有給消化も滞り気味だ。付与された有給休暇を「必ず消化できる」と回答したのは16%しかいなかった。「必要性があれば消化できる」が33%、「消化できない」が41%と、半数近くの回答者が消化できていないことになる。

使いきれなかった有給休暇はどう扱われるのか。調査では53%が職場で「翌年に持ち越してくれる」と回答したが、「繰り越せるが制限などがある」との答えも6%ある。「特に何の対処もない」との回答も38%あった。残り2%は「買い上げをしてくれる」というものだった。

労働基準法第115条では、年次有給休暇の請求権の時効は2年となっている。その年1年間で使いきれなかった分の有給は翌年に繰り越され、翌年中に使えなければその分の有給は消滅するのが本来のあり方だ。しかし、繰り越しがされなかったり、されても用途の制限があったり、使い勝手が良いとは言い難いようだ。