「カルパチアの真珠」とうたわれるルーマニアの山あいの町、シナイア。標高2000メートル級の山々が緩やかに連なるカルパチア山脈が織り成す四季折々の自然美が楽しめる景勝地です。

町の歴史は17世紀にシナイア僧院が建立されたことにはじまり、18世紀になるとブカレストの王侯貴族たちの別荘地として栄えました。優雅な館が点在する緑豊かな町並みは、どこか日本の軽井沢にも似ています。

シナイアのメインストリートが、駅前から延びるカロル1世通り。レストランやホテル、土産物屋などが並ぶにぎやかな通りで、西ヨーロッパのような雰囲気が漂っています。

シナイアの代名詞存在ともいえるのが、町の名前の由来にもなったシナイア僧院。

17世紀にルーマニア人貴族ミハイ・カンタクジが現在のイスラエルに巡礼の旅に出かけ、聖書にも登場するシナイ山を訪問しました。帰国後、ここに「シナイ山」にちなんでシナイア僧院を建てたのです。

シナイア僧院には1846年に建てられた大教会と、創建当初からほとんど変わっていない古い教会の2つの教会があります。

なかでも、古い教会の入口や内壁に描かれたフレスコ画は圧巻。俗世から隔絶されたかのような山の中にひっそりとたたずんでいるからでしょうか。こぢんまりとした空間ながら、鳥肌が立つほどの神聖なエネルギーを感じます。

シナイア随一の観光スポットが、「ルーマニアで最も美しい城」との呼び声高いペレシュ城。シナイア僧院からさらに奥へ、山道をのぼったところにあります。豊かな緑に抱かれ、優雅にたたずむその姿はまさに絵画のような美しさ。

ペレシュ城は、初代ルーマニア国王・カロル1世が1875年に王室の夏の離宮として建設を始め、7年後の1883年に完成しました。現在、160はあるといわれる部屋の一部が博物館として公開されており、カロル1世が集めた美術品や調度品、武器などで飾られた華麗な部屋の数々を見ることができます。

ペレシュ城で最も壮麗な空間といえば、なんといってもメインホールの役割を果たしていた「名誉のホール」。クルミの木をふんだんに使った重厚感たっぷりの空間は、無数の精緻な彫刻で彩られていて、息を呑むほどの豪華さです。

建物全体としては、ドイツ・ルネッサンス様式で建てられていますが、なかにはイタリアやスペイン、トルコなどの装飾様式が取り入れられている部屋もあり、変化に富んでいてまったく飽きることがありません。

ペレシュ城と同じ敷地内にあるもうひとつの城、ペリショル城も見逃せません。1902年に完成したカロル1世の狩猟用の城で、ペレシュ城よりは控えめながら、細やかな木組みの装飾や複雑な屋根のシルエットが絵になる城です。

城内は豪奢ながらも、ペレシュ城に比べるとより生活感のあるアットホームな雰囲気が感じられます。

山々に囲まれた豊かな自然の風景に、美しい建造物の数々が見事に調和したシナイアの町。ここでは、日々の忙しさを忘れて、非日常の世界にどっぷりと浸かってみたくなります。

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