『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる最強の心理戦略』(内藤誼人/かんき出版)

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「そこにシビれる!あこがれるゥ!」(コミックス第1巻)
「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」(コミックス第3巻)
「そのうち、カーズは考えるのをやめた。」(コミックス第12巻)
「だが断る」(コミックス第41巻)

 今年で連載30年を迎え、コミックス総発行部数は1億冊以上、さらに実写映画が公開されるなど、その人気はとどまるところを知らない『ジョジョの奇妙な冒険』。そして、冒頭の言葉は、作中に登場する名(迷)言の数々だ。これらがわかる人は、間違いなく“ジョジョ好き”と言える。

 ジョジョの魅力は、上記のような独特なセリフ回し、キャラクターたちの「ジョジョ立ち」と呼ばれるポーズなど。ただ力と力がぶつかり合うだけでなく、相手の裏をかき、様々な知略をめぐらせる心理戦も見どころだ。

 そんなジョジョに登場するキャラクターの行動やセリフを心理学で読み解き、ビジネスや恋愛で使える心理テクニックとして伝授してくれるのが『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる最強の心理戦略』(内藤誼人/かんき出版)だ。著者は、これまで200冊以上の心理学についての著作を世に送りだしてきた内藤誼人氏。内藤氏曰く、ジョジョで描かれる行動やセリフは「心理学をベースにした戦略」で裏打ちされたものばかりなのだそう。さらに、「ジョジョは、心理学を学ぶのに、最適のテキスト」と語るほど。

 好きなマンガで心理学の勉強ができるのなら、こんなに嬉しいものはない。どのような心理テクニックが掲載されているのか、本書に掲載されているもののいくつかを以下に紹介したい。

■何度もいわれると「その気」になる

 例えば、もし気になる異性に対してデートのお誘いをしたところ「NO」を突きつけられてしまったら。打たれ弱い私は「ごめんなさい…」と涙目ですごすご逃げ帰ってきてしまう。

 しかし、本書曰く「YES」という気持ちがあっても、「NO」と条件反射で答えてしまうことがあるという。テキサスA&M大学のシャーレン・ミューレンハードが女子大学生に「男性に誘われて『YES』と言いたいときに、『NO』と言ってしまったことがありますか?」という質問をしたところ、約4割の女性が「そういう経験がある」と答えたそう。つまり、一度「NO」を突きつけられたからといって、諦める必要はないということ。これは恋愛だけでなく、ビジネスにも使えるテクニックだろう。

真の『失敗』とはッ! 開拓の心を忘れ! 困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだッ!(スティール・ボール・ラン 第1巻 スティーブン・スティール)

■見方を変えればピンチはチャンスに変わる

 本書では「ピンチ」と「チャンス」の違いは本人がどう思っているかである、と説いている。ピンチだからと早々に諦めてしまうのではなく、虎視眈々と逆転の一手を狙うのが大切だということ。

『ジョジョの奇妙な冒険』第二部の主人公ジョセフ・ジョースターは、波紋修行のため地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)に挑む。修行で楽をしようとしたジョセフは絶体絶命のピンチに追い込まれるも起死回生のアイデアでピンチをチャンスに変え、試練を突破する。以下のセリフは、ジョセフを見守った師匠・リサリサの一言。

自分のマイナスを逆に利用するなど抜け目のない奴!(第8巻 リサリサ)

■迷ったら、「やる」ほうが後悔は小さい

 一度きりの人生、できれば後悔なんてしたくないもの。しかし、それでも人生に後悔はつきものだろう。著者曰く、後悔には「やった」後悔と「やらなかった」後悔の2種類があるそう。そして「やらなかった」後悔が鮮明に記憶に残るという。そのため、「やる」か「やらない」かで迷ったときは「やる」が正解!

 ジョジョのキャラクターの多くは確固たる信念を持って、強敵と対峙している。彼らのように生きるためには、まずは迷ったら行動に移すことだ。転職や進学、恋愛、家庭の悩みなど、行動に移してみよう。そう思えるような勇気が出る一言を送りたい。

オレは「正しい」と思ったからやったんだ後悔はない…(第51巻 ブローノ・ブチャラティ)

 本書で紹介されている心理テクニックは全部で46個。上記の3つはほんの一部にすぎない。ジョジョが好きな人は名場面を思い出しながら楽しく心理学を学ぶことができる。そして、ジョジョを読んだことない人も心理学が学べるだけでなく、魅力的なジョジョの世界が好きになる! かもしれない。

文=冴島友貴