アキノキリンソウ。

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 京都大学の研究グループは、アキノキリンソウという植物に注目した研究によって、開花時期の異なるグループ同士の間では、生息箇所の異なるグループ同士の間で生じるのと同じような進化の促進が生じる、という事実を明らかにした。

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 アキノキリンソウはキク科の多年草である。外来種セイタカアワダチソウが広まる前は日本でよく親しまれていた種であり、日本列島から朝鮮半島にかけて分布し、名前の通り、秋に黄色い花をつける。

 しかし、研究グループは、北海道の各地に、初夏に開花する早咲きのアキノキリンソウの系統がある、という事実をまず突き止めた。この系統は、蛇紋岩地帯や高山帯という特殊な土壌のもとで生育する。

 進化というものはどのような状況下で、どのように進むか。ここでは植物に限って話を進めるが、基本的には、元は同じ種であった植物が異なる進化を遂げ、新しい植物が生まれる際には、同じ種が、別々の場所に相互に隔離されて生育し、それぞれの進化が進んでいくということが重要な条件になる。

 理論的には、開花時期が明瞭に違うのならば、同一種が隣接した場所に生育していても同様の現象が起こるということが推測されるが、それを裏付ける実証的なデータはこれまでなかった。今回の研究は、その初めての証明となるものである。

 実際に、蛇紋岩地帯の早咲きのアキノキリンソウに遺伝的な調査を行ったところ、DNAに急速な組成変化が生じており、新しい種への進化が進んでいることが明らかになったという。

 この研究は、植物の基本的な進化の要因の解明に対し、大きな新しい貢献を果たすものである。なお、今後の展望としては、そもそも何故、蛇紋岩地帯や高山帯において、早咲きのアキノキリンソウが生じたのか、を明らかにしてみたいという。

 なお、研究の詳細は、New Phytologistに掲載されている。