『図解 モチベーション大百科』(池田貴将/サンクチュアリ出版)

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 多くの人は、モチベーションを維持することが難しい。一方で、モチベーションが成果に直結することを知っている。だからこそ、モチベーションに関する書籍が売れ続けている。

 『図解 モチベーション大百科』(池田貴将/サンクチュアリ出版)は、タイトルのとおり、モチベーションの図解百科。スタンフォード大、ハーバード大、コロンビア大、プリンストン大、ペンシルバニア大など、名だたる一流研究機関で実施された100通りの心理・行動実験をもとに、ビジネスマンの心理や行動に応用できるよう、わかりやすく解説されている。

 本書は「動機づけ」「人材育成」「目標設定」「意思決定」「人脈作り」「自己管理」「発想転換」の7つの章で構成されており、それぞれの章でモチベーションを維持あるいは向上させるテクニックが掲載されている。

 今回は、「動機づけ」から一部を紹介したい。

 人が行動する理由は一人ひとり違うが、本書の著者の師匠であるアンソニー・ロビンズ氏によれば、「人を動かすものはそれぞれ表面的に違えども、突き詰めれば次の6つのニーズしかない」という。

 氏による6つのニーズを簡単に紹介する。

ニーズ1 安定感
今までと同様に生きていたいというニーズ。
ニーズ2 変化(不安定感)
今までとは違う体験をしたいというニーズ。
ニーズ3 重要感
特別な存在でいたいというニーズ。
ニーズ4 つながり
周囲と一体感を持ちたい、誰かに愛されたいというニーズ。
ニーズ5 成長
自分のレベルを上げたいというニーズ。
ニーズ6 貢献
誰かの役に立ちたいというニーズ。

 この6ニーズのうち、1から4は誰もが多かれ少なかれ持っているニーズで、5と6は満たすことによってさらに深い喜びが感じられるニーズ。ただ、5や6は他人にアピールする目的なら、じつは「重要感ニーズだった」ということもある。

 本書によると、人は6ニーズのうち、特にこだわりが強い「2大ニーズ」を持っており、自分や相手がどのニーズを満たそうとしているかを探り、そこにフォーカスを当てながら提案、依頼、交渉をするのが効果的だとしている。

 では、ニーズを汲んだうえで、モチベーションを維持・向上させるには、具体的にどのようなテクニックがあるのか。

「動機づけ」に関するテクニックを1つ、紹介したい(本書P.22・23より)。

目標勾配
あるコーヒーショップで、スタンプカードを使った実験をしました。
Aパターン
コーヒーを10杯飲むと、1杯無料になる。
Bパターン
コーヒーを12杯飲むと、1杯無料になる。
ただしスタンプは最初から2個おしてある。
結果
Bパターンのスタンプカードを渡された人たちは、Aパターンのスタンプカードを渡された人よりもはるかに多く、無料の1杯を手に入れた。
(参考 コロンビア大学ビジネススクールの研究)

 ゴールが提示されると、私たちは“ゴールまでの距離”を意識しますが、その距離がまったく同じであっても「とらえ方」によってモチベーションに変化が起こります。
このスタンプカードをすべて埋めるには、「残りあと10個」という客観的事実に違いはありませんが、すでに2個スタンプがおされた状態では、「もう6分の1も進んでいる」という認識に変わるのです。

 この実験と考察により導き出される、モチベーションを引き出すテクニックとしては、「『どれくらい遠いか』よりも『どれくらい近いか』を振り返る」こと。このテクニックを実践することで、物事の継続率が高まりそうだ。

 同章では、他に、スモールプレゼントをする実験結果から、ビジネスマン(特に管理職)が朝一番にするべきことは、今日の予定を確認することでも、たまった書類にサインをすることでもなく、メンバーの「いい気分」を作ることである、と解説していたり(本書P.22・23「キャンディ効果」)、から、ご褒美は「それが消費されるまで」モチベーションを保ってくれるものの、平均して8週間しか持続しないため、ご褒美を与える時点から2ヵ月先にもご褒美を仕込んでおくことの効率性を述べていたりする(本書P.24・25「消費ゴール」)。

 本書は、モチベーションの問題は「選択の問題」であるとしている。「やった方がい。でもやらなくてもいい?」と頭の中で自問自答する都度、「やる」「やる」「やる」と選択し続けられるかどうかが、成功の鍵を握るという。

 これらの法則を用いて、「やらない」選択を減らし、「やる」ことによる快感をすこしでも増やしてほしい。

文=ルートつつみ