ベスト8で敗れ、肩を落とす浦和の選手たち。興梠は若手の突き上げの物足りなさを嘆いた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[ルヴァン杯 準々決勝2nd] 浦和 2-2 C大阪 /9月3日/埼玉
 
 浦和は前半に喫した2失点が響いた。後半の武藤雄樹と興梠慎三のヘッド弾で同点に追いついたものの、アウェーゴールの差で準々決勝敗退。ルヴァンカップ連覇の夢が潰えた。
 
 1-2と浦和がリードを許して迎えた71分、交代出場したばかりの高木俊幸のCKに、興梠が驚愕の跳躍から合わせたヘディングシュートで、2-2の同点に追いつく。完全に浦和が攻勢に立ち、スタジアムにはあと1点奪えば準決勝進出という猛烈な追い風が吹く。
 
 しかし、残り20分間はC大阪の守備網を崩し切れなかった。

 この日、ゴールをもたらしたのは、平川忠亮―武藤、高木―興梠というチームを牽引してきた主力たちだった。一方、抜擢された、矢島慎也、長澤和樹、田村友、2種登録の橋岡大樹らは、光るプレーを随所で見せたものの単発に終わり、その個の力で勝利に導けなかった。
 
 そんな若手たちのパフォーマンスに、興梠は物足りなさを感じていた。
 
「セットプレーからの失点は仕方ない面もある。しかし、そのセットプレーを与えたのは自分たちのミスからだった。そこは反省すべき。(ペトロヴィッチ前監督から堀孝史監督への交代後)いろんな選手たちが使われるようになった。ただ、チャンスをもらっている若手は、もっと頑張らないといけない」
 
 期待を込めて送り出される若い選手たちが慎重なプレーを続けてミスし、流れをもたらすような存在になり切れずにいる。31歳になったストライカーは、そのチームの現状に歯がゆさを感じていた。
 
「突き上げがあることで、チームは上にいける。だからこそ、(若手は)結果を残さないといけない。神様もそんなに多くのチャンスはくれない。自分自身についても決して満足はしていないけど、何かやってやろうという気持ちが強かった。それを見て、もっと頑張りたいと思ってくれれば……」
 
 試合中、興梠は味方に不満や文句をぶつけることはない。「『なんでできないんだ』と文句を言ったところで、プレーが縮こまってしまっては意味がない」からだと理由を語る。だからこの試合では、例えば矢島慎也に「お前はボールを受けたら前を向け。そうすれば生きるんだから」と、まさに“前向き”な声を掛けたと言う。
 
 周りの特長を引き出すことで、自身のストロングポイントも最大限に生かすプレースタイルを貫いてきた。それだけに、リスクを極力抑えるプレーに終始する若手の突き上げに物足りなさを感じていた。それは興梠からの挑戦状。日々練習で対峙するなか、後輩たちの実力がこんなものではないと誰よりも強く確信しているからだ。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)