今年の高校サッカー界目玉選手のひとり、郷家は神戸を新天地に定めた。Jの舞台でも怪物ぶりを発揮するか。写真:松尾祐希

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 高校ナンバーワンMFの呼び声が高いU-18日本代表MF、郷家友太。去る8月25日、来春のヴィッセル神戸入りが発表され、2年前の神谷優太(→湘南ベルマーレ)、昨年の高橋壱晟(→ジェフ千葉)に続き、青森山田の10番が3年連続でJリーガーとなる。
 
 郷家の武器は、なんと言ってもプレーの多様性にある。184センチの恵まれた体躯を活かしたダイナミックな動きと、空中戦の強さ。このタイプにありがちなスキルの不足感はなく、図抜けた得点能力と足下の技術を兼備する。
 
 また、チームでは2シャドーの一角を担うことが多いが、中盤の底からサイド、さらには最前線まで対応できる。まさにスーパーマルチと呼ぶに相応しい。8月のインターハイは前橋育英に敗れ、3回戦で姿を消したが、強烈な存在感を示した。とりわけ大会最注目の大一番となった2回戦の東福岡戦では、持てる能力を最大限に披露。中盤でバランスを取りつつ、好機と見ればすかさず前に出て決定的な仕事をこなした。最終盤には勝負を決める3点目を奪い、攻守両面で眩いばかりの輝きを放った。
 
 プロ入り表明後、初の公式戦となったのが、9月3日のプレミアリーグEAST、市立船橋戦。惜しくも1-2で逆転負けを喫したが、そつなく広範囲をカバーし、ゴール前にも積極的に顔を出す十八番のプレーで違いを見せた。
 
 現在のプレースタイルを確立できたのは、ふたりの先輩の存在が大きいという。先述の神谷と高橋だ。
 
「壱晟さんはずっと間近に接していた存在。プロになるまでの過程を見て来たし、ふたつ上の神谷さんも同じ部屋になることが多くて、ずっと影響を受けてきた。2年連続でプロになった10番の背中を見てきたので、自分がチームでないをすべきなのかを、ふたりに教えてもらったと思う。なかでも壱晟さんからは中盤の役割を学んだ。3年生になって僕は後ろ気味にプレーをすることが多くなったのですが、そういう時のポジショニングとかは、壱晟さんから教えてもらったもの。神谷さんは良い意味で我が強い選手で、自分で決めるという気持ちがあった。壱晟さんとはまた違う刺激を受けました」
 
 今季、郷家はプレミアリーグEASTで7得点を奪い、得点王争いのトップに立つなど充実したシーズンを送っている。はたして神戸では、1年目からどこまでやれるのだろうか。獲得に関わった神戸の岩見卓スカウトは、じっくりと育てていく意向を示した。
 
「いろんな可能性を秘めている。青森山田のチーム状況もあっていろんなことをやっているし、ウチの評価としても万能型のミッドフィルダー。ボランチ、サイド、フォワード。どこで使うかはまだ分からないけど、賢い選手なのでどんな監督でもどんなポジションでも適応できるでしょう。幅広いプレーができると思いますが、(足りない点も多いので)長い目で育てていきたい」
 
 身体能力に秀でているとは言え、まだまだやるべきことは多い。プロ仕様の身体作りや運動量の向上にプレースピードの向上。そして、自身に合う最適なポジションも見出さなければならない。
 
 ただその前に、残る高校生活を完全燃焼して終える覚悟だ。選手権とチャンピオンシップの連覇。ナンバー10の重責を全うし、夏の雪辱を果たす。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)