本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「飲食店を経営しています。最近増えた外国人客のマナーが悪く、常連客から苦情が。困り果てて『JAPANESE ONLY』と貼り紙をしたら、SNSで『差別だ!』と非難され、役所からも指導を受けました。『子ども、お断り』の店は許されるのに、相手が外国人だとダメなのは、法的に説明できますか?」(50代女性・飲食店経営)
 
【回答】「貴女の貼り紙は、立派な差別貼り紙ですわ」(仲岡しゅん)
 
結論なのですが、まず、日本人か外国人か、ということを基準にして、入店の可否を決めるというのは、合理的な理由に基づかずに人に差異をつけて扱うことです。そして、その結果、外国人は外国人であるというだけで不利益を被ってしまいます。つまり、貴女の貼り紙は、立派な差別貼り紙ですわ。
 
法的に見ても、日本は、人種差別撤廃条約に加入しています。そして人種差別撤廃条約5条によりますと、飲食店を利用する権利についても、締約国は「人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する」とあります。つまり平たく言うと、日本という国は、飲食店の利用にあたって人種や民族による差別があってはならないと、条約で約束しているわけです。
 
では「子ども、お断り」はどうでしょう?「子どもは大事にせなアカン」が信条のわたくしからすれば、あまり好ましいこととは思えません。ただ、お酒を出すお店や、オトナの雰囲気がウリのお店の場合、大人限定にする必要性もあるでしょう。また、子どもというのは大人になるまでの「状態」なわけで、「人種」や「民族」とは違います。大人と異なる扱いをすることが合理的と言える場合もありそうです。
 
他方、マナーの善しあしの問題と、日本人か外国人かということは、必ずしもリンクしません。だって、日本人か外国人かに関係なく、マナーの悪いやつは悪いし、いいやつはいいんですから。要するに「そのお客さんがどういう人物か」ということが大事なわけで、人種や国籍で切り分けるのはおかしいですわね。
 
もっと言えば「マナーってそもそもなんやねん」という問題もあります。その国の文化によってマナーも変わってきます。貴女にとっては悪いマナーでも、もしかしたら文化的な違いだけかもしれません。せっかく外国人観光客が増えたなら、文化的な差異があることを踏まえて、むしろそれをきっかけにコミュニケーションをしてみてはいかが?
 
外国人だからという理由で入店拒否だなんて、差別的であるだけでなく、貴女自身の可能性をも潰してしまう、実につまらない選択ですわ。わたくしは、そう思います。