私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「違法駐車・違法駐輪」に関する話題に続き、今回取り上げるテーマは「コンビニのミニスーパー化」について。コンビニが他業態の売上を奪う相手として食料品スーパーを選んだ理由、そしてその動きの前に立ちはだかる課題について、日比谷さんが詳しく解説しています。

家計調査結果から見える「売るべき商品」

先頃、セブンイレブンの新たな店舗フォーマットが発表され、それに基づいた新レイアウト店舗が全国で続々と出店しています。

これらの新レイアウト店舗と既存の店舗との大きな違いは、冷凍食品や生鮮品といった、食料品スーパーが得意とする商品群の品揃えを特に強化している点です。この施策の狙いは、ここ5、6年で獲得が進んでいる主婦・高齢者客の更なる囲い込み。つまり、食料品スーパーからの顧客奪取です。

以下に紹介する表は、食品や生活必需品といった商品群の、平均的な年間支出金額を調査したもの。なお、表の右側にある「CVS取扱い」とは、既存コンビニの取扱い状況を独断で評価したものです。

生鮮野菜・生精肉・生鮮魚介といった、食料品スーパーの得意分野である商品群に関して、既存のコンビニがいかに弱いかが、これを見ればよくわかると思います。家計のなかでも大きなウエイトを占めている、これら生鮮品の取扱いの強化、いわゆるミニスーパー化で、コンビニは更なる集客と売上アップを狙っているわけです。

コンビニとスーパーに共通する「生産性の高さ」

これからのコンビニが目指しているミニスーパー化ですが、業態それぞれの生産性の高さという面でみても、とても理に適った戦略といえます。

以下の表は、コンビニをはじめとした様々な業態における「1事業所あたりの年間商品販売額」と「売場面積1平方メートルあたりの年間商品販売額」をまとめたものです。

表を見ると、コンビニの売場面積あたりの売上が非常に高いことが分かります。お客さんが欲しい商品を欲しい時間に陳列するという、まさに「便利なお店」を極限まで突き詰めたことで、ここまでの高い生産性をたたき出しているのです。

いっぽうで、食料品スーパーやドラッグストアといった業態も、コンビニに次いで高い生産性を誇ります。コンビニ業界が「生産性は多少犠牲に(店舗面積を大きくする等)したとしても、他業態が持っている売上を奪いたい」と考えた時に、どの業態と提携(コラボレーション)するのが魅力的で成功しやすいか。それは、生産性がかけ離れている衣料品スーパーや住関連スーパー(ホームセンター等)ではなく、生産性が比較的高い食料品スーパーやドラッグストアであることは自明でしょう。

ミニスーパー化の大きな課題とは?

とはいえ、ひとくちに「生鮮品を強化してミニスーパー化する」とは言っても、そこには大きな壁が存在します。それは物流の問題です。

生鮮品は言うまでもなく「鮮度が命」です。そのため食料品スーパーでは、例えば精肉なら各店舗のバックヤードで新鮮な塊の肉を切り分け、すぐさまパック詰めにして、鮮度が良いまま売場に並べています。

ところが、物流センターを経由して各店舗に商品を行き渡らせるという、現状のコンビニの物流体制だと、温度管理ができるトラックによる配送が各店舗に1日3回が限界といったところ。これでは食料品スーパーに並んでいる生鮮品の新鮮さには勝てません。

また、食料品スーパーと同様に店内バックヤードで加工するというのも、コンビニの生命線であるアルバイト中心のローコスト運営オペレーションが崩れてしまうため、現実的ではありません。ミニスーパー化の成功にはやはり、これまでのコンビニのインフラ・強みを活用したうえでの、物流面における革命的な変化が必要となってくるでしょう。

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出典元:まぐまぐニュース!