鉄道ダイヤ検索の事業性 派生されば見えるビジネスチャンス

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 スマホや携帯電話の路線案内を使わない人はいまや少数派だろう。それくらい普及度は抜群である。特に、東京、大阪の地下鉄網の複雑な接続の中、目的地への最短ルートと予定時刻を一瞬で解いて教えてくれるアプリは、地図アプリと併せていまや手放せない生活必需品の一つである。

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 路線案内システムの発祥は何だろうか?路線ツリーから得られる行き先経路や、乗り換え数などを場合の数に当てはめる研究は、大学数学科の博士論文になるほどの課題ともいえる。探求心の裏打ちがあり、PC上に展開利用可能ないわゆる便利ツールとして開発され始めた製品で、今でもトップランナーの地位を維持し続けているジョルダンの『駅すぱあと』が、発祥と言える。

 多くの利用者を獲得し、後発競合他社の追随を許さないやり方は参考にしたい。アプリならではの手軽さは、取り扱いを間違えるとクレーマーの集団を生み出しかねず、風評被害であっという間に会社の評判情報が落ち込んでしまいかねない危険を孕む。その反面、お手軽さを市場情報収集に活かせば、顧客の声をいち早く製品改善に取り込める優位を作り出せる。実際『駅すぱあと』は、利用者が簡単にフィードバックできる機能を組み込んで販売し、そこから得られたデータを製品改善に役立てることで、他社の追随を許さないトップシェアを維持している。

 都市部の鉄道は錯綜した構造ゆえにダイヤを解くツールが事業になるのだが、この事業展開の方法から考え方を派生させ、別の事業のあり方を考える題材としてもとらえてみたい。例えば、鉄道ダイヤ検索は、料金検索・割り出し・当てはめの機能を必ず保持しているのだが、これをタクシーに応用した例がある。Navitimeのタクシー料金検索である。

 考えられる用途は、出張の際のタクシー料金の事前準備・予想、経理のチェックツール、そして、タクシー会社の売上予想も上位管理システムを機能させれば出せるかも知れない。また、学術的には、売上最大化ルートシミュレーションも十分研究課題になる。複雑な道筋を完璧に記憶していることで世界的に有名なロンドンのタクシー運転手も真っ青であろう。

 また、「旅行客」をキーワードにして括ると、観光案内ツールに翻訳エンジンを搭載したPIJINの商品「QR Translator」の例もなかなか良い。

 「世界をバリアフリーに」という標語は、旅行客をはじめとする訪日外国人の心にヒットするはずである。鉄道が地政学的なバリアフリーを目指して川を渡って高速輸送に向かったのと共通する構造を持つ仕組みかも知れない。鉄道という人類の叡智を集めた集積体が派生させる構造を読み解きながら、事業としての在り方を考えて行く中に、ビジネスに関わる者にとって一つの知的訓練の良い題材を得て、次段階に進むヒントを貰えるものの一つに違いない。