ワールドカップ出場を決めたことは満足ですが、満足しきってはいけません。ワールドカップで結果を残して初めて満足する。私は勝つことが大好きです。勝者の意識をチームにも持ってもらいたい。これからもまとまって大きな仕事をしていきたいと思っています。

 今後10月、11月に活動がありますが、ワールドカップ予選後の2試合は日本で開催されます。世界各国で予選が行なわれているので国内になると思います。でも11月になれば国外に、海外に行けるかもしれない。高いレベルの国と対戦できるかもしれません。

 それがどのチームは決まっていません。高いレベルのチームとやりたいし、どこまでできるのを確認したいと思っています。今現在のチームの状況では、ワールドカップで結果を残せません。でも8か月後には変わっているかもしれません」
 
――昨日のスタメンで行くとの決断はいつだったのか?

「この試合の前に行なわれたトレーニングセッションで戦術練習をしました。そのなかで試しました。まず、代表の活動がない期間に、コーチングスタッフがすべてのチームを視察して分析を行ないます。

 現場に足を運んだり、映像で見たり、選手たちの情報が分かります。チームの8割は出来上がっていたんです。しかし、中盤と前はまだ決まっていませんでした。例えば、20歳そこそこの選手がふたりいるとか。そこに全員が納得していなかったでしょう。若い選手がプレッシャーを恐れてしまう心配もありましたが、最後のトレーニングの後、決断しました。

 そして、個別でも、グループでも、ポジション別でも、たくさん説明しました。オーストラリアのメンバーを見た時に中盤の枚数を増やすと予想しました。1トップでしたが、ミッドフィルダー的な特徴を持ち、オフサイドぎりぎりで裏を狙う選手でした。そして、その後ろに4人いて、ポジションを入れ替えながらプレーしていました。

 ですので、試合直前にメンバーが出た後も選手たちから質問も出ました。どういうふうに前からプレッシャーをかけるのか、相手選手が中盤にボールをつけた場合、誰がそこにつくのか、あるいは逆サイドはどう見るのか、などなど試合直前にもたくさんの確認を行いました。

 我々が予測していた背の高い選手が入っていなかったので、マークの仕方も変えました。そのような細かいこともたくさんあり、その指示をすべて選手たちが実行してくれたことに驚いています。

 もちろん、自分たちがボールを持った時にも戦術があります。グラウンダーで早いボールスピードで、井手口や(山口)蛍は、クラブでやっていないプレーかもしれませんが、個人プレーでも見せてくれたし、ふたりとも良いシュートを持っていました。

 井手口はゴールを取りました。このような形で代表でプレーするのはほぼ初めてでした。長谷部も戦術的な役割をこなし、前線の選手たちもチームのために頑張りました。そういった姿を見ると、このチームはまだまだ進化する希望を感じます。もっとトレーニングをすればさらに良くなります。

 試合直前まで分からない部分もあったので、直前に話し合って決めた部分もあります。特にセットプレーは直前まで決まりませんでした。にも関わらず、すべて細かいこともできたのは、スタッフが一生懸命働いてくれたからです。

 コーチングスタッフ、特に日本人のスタッフにお願いして、若い選手にたくさん話をしてもらいました。ドクターやトレーナーの方々にも、声をかけてほしいとお願いしましたし、試合に出ていない経験を積んだ選手にも勇気づけてほしいとお願いしました。

 そのように全体で励まし合って進めました。田嶋会長もホテルに足を運んでくれて、言葉を掛けてくださいました。

 上手くいかなければ責任は私にあります。私もそれは受け入れなければいけない。全体で協力して結果を残せましたから、良かったと思いますし、私のビジョンを変えたくはありません。このような形で続けたいと思っています」