しかし、A・マドリーは今夏に補強禁止処分を受けていることもあり、交渉は捗らず……。結局、最後まで折り合いがつかずに、9月1日にプレミアリーグに提出された25人の登録メンバーにD・コスタが含まれていたことで、今夏の移籍は消えた。
 
 一方のファン・ダイクは、7月末に練習に参加しないことを表明し、さらに8月上旬から始まった南フランスでのミニキャンプにも合流しなかった。しかし、サウサンプトンは守備の要であるオランダ代表CBの放出を「彼は残る」と拒み続けた。
 
 それにファン・ダイクは憤怒し、8月7日にはマネジメント会社を通じて、移籍リクエストを提出したうえで、「サウサンプトンはトップクラブからのオファーを全て拒否したんだ。憤りを感じている」という声明も出した。
 
 それでも、ファン・ダイクの違約金を6000万ポンド(約84億円)に設定するサウサンプトンは、リバプール、チェルシー、マンチェスター・C、アーセナルからのオファーを頑として受け入れず。最終的に残留を余儀なくされた。
 その他には、ヘルタ・ベルリンの原口元気とレスターのリャド・マハレズにも移籍の噂は流れたが、実現には至らなかった。
 
 とりわけ原口は、プレミアリーグ行きを念頭に契約延長を拒否したことでプレシーズンは飼い殺し状態となったが、噂されたブライトンとの交渉が就労ビザの関係から難航。マーケット終盤にはシュツットガルトへの移籍も上がったが、最後まで動きはなかった。
 
 マハレズにも様々なクラブがオファーをかけ、なかでもローマとは個人合意に達したことが伝えられたが、レスターとのクラブ間交渉が進まずに立ち消えとなった。
 
 幾人もの選手が所属クラブの意向で残留を余儀なくされるなかで、ロス・バークリーは稀な一件だと言える。
 
 エバートンの移籍を容認していた。7月26日には、指揮官のロナルド・クーマンが、「100パーセント退団する」と今夏の移籍を認める発言をしていたのだ。
 
 バークリー自身も、プレシーズンにチームへ合流せず、新天地探しに奔走。そのなかでトッテナムやチェルシーから関心を寄せられ、マーケット最終日には後者への移籍が内定との報道が浮上した。
 
 だがその後、エバートンの主要株主ファルハド・モシリ氏が、英『スカイスポーツ』で、「メディカルチェック後に代理人から、彼が考えを変えたと言われた」とバークリー自身が移籍に待ったをかけたことを明らかにした。
 
『BBC』などによれば、現在ハムストリングを痛めているバークリーは、完全回復後の移籍でも良いと決断したと伝えている。とはいえ、チェルシーにとってはまさに泣きっ面に蜂。同日には、トッテナムにフェルナンド・ジョレンテを奪われていた。
 
 選手やその代理人、そしてクラブの思惑が交錯する移籍市場。はたして冬以降、キャリアアップを理由に練習をボイコットした選手たちの希望は叶うのか? 引き続き、彼らの動向には注目したい。