撮影:高橋邦典

写真拡大 (全2枚)

 世界最大の宗教祭典といわれる「クンブメラ」は、ヒンドゥー教徒にとって最も聖なる行事。様々な教祖たちやサドゥーと呼ばれる修行者をはじめ、世界中から信者が集まる。人々は聖なる川で沐浴し、サドゥーや教祖たちから教えを乞う。

 ヒンドゥー語でクンブは「水瓶」メラは「祭典」のことだ。神話によれば、神々が悪鬼たちと不老不死の水の入った壺を奪い合い戦った際、インドの4か所にその雫がこぼれ落ちた。これを由来にしたクンブメラは、アラハバード、ハリドワール、ナシクそしてウジャインの4都市をまわりながら3年おきに開かれる。

              ◇             ◇

 一口にサドゥーといっても、いくつかのセクターがある。

 中でも、真冬でも衣類を纏わず、全裸もしくはふんどしだけで暮らす「ナガ・サドゥー」たちの姿は、もっとも目を惹く存在だ。

 新月の早朝、沐浴のために川へ行進するサドゥーたちが、ぞろぞろと大通りに並び始めた。見物に沿道に集まった人々も含め、通りはすぐに埋め尽くされた。

 行進が始まり小1時間、川岸に近づくとサドゥーたちがみな待ちきれずに走りだす。僕も一緒になって小走りをしながら彼らにカメラを向けていると、突然バシリと硬いもので肩を叩かれた。振り向くと、サドゥーの一人が怒りの形相でなにやら叫びながら杖を振り上げている。実はこのナガ・サドゥーたち、好戦的で気が荒い輩が多いことでも知られ、なかには斧や刀で武装している者もいるのだ。その真偽は定かでないが、数年前、ナガ・サドゥー同士が喧嘩になって、一人が刀で足を切られたという話も聞いた。

 世を捨て、悟りをひらくために瞑想や修行を続けているのだから、もっと寛容であってもいいと思うのだけれど……。サドゥーに関して、そういう論理は成り立たないようだ。

 2013年2月撮影

(写真・文:高橋邦典)

※この記事はフォトジャーナル<世界最大の宗教祭典クンブメラ>- 高橋邦典 第49回」の一部を抜粋したものです。