学生の窓口編集部

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秋の行楽シーズンには「紅葉を楽しめるキャンプに出掛けてバーベキュー」なんてスケジュールを立てる人も多くなりますね。最近では、必要な道具は全部貸してくれるというキャンプ場などもあり、バーベキューはより身近なレジャーとなっています。今回は、初心者のみなさんのために「バーベキューの楽しさ・始め方」について『日本バーベキュー協会』の下城民夫さんにお話を伺いました。下城さんは、アウトドアの達人であり、日本バーベキュー協会の創始者です。バーベキュー文化がよりよく日本で理解されるように啓蒙(けいもう)活動を続けていらっしゃいます。



■「スマートバーベキュー」こそおすすめ!

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――初心者がバーベキューを始めたいという場合には、どのようにすればいいでしょうか? まず道具からそろえればいいのでしょうか?

下城さん:私たち『日本バーベキュー協会』では「スマートバーベキュー」を推奨しています。できるだけ楽をしてバーベキューを楽しんでほしい、という考えです。バーベキューは遊びの文化(後述)ですので、道具をそろえてから、準備が面倒といった先入観にとらわれず、まず楽しむことを第一に考えるのがいいでしょう。

実際「手ぶらバーベキュー」といった、道具、食材など必要なものは全て現地で用意してあって、それを利用できるバーベキュープランもあります。道具を買うと、置いておく場所も取りますから、自分に合ったバーベキューの楽しみ方・始め方を選択すればいいのではないでしょうか。

●スマートバーベキューのための「バーベ九則」

1.下調べは慎重に
2.準備はお家で
3.降らずとも雨の用意
4.焼ける前に一品
5.食べ物を炭にするべからず
6.子ども相客に心せよ
7.飲んだら運転しない
8.ごみ炭は埋めない捨てない
9.来たときよりも美しく

選定 日本バーベキュー協会
⇒データ引用元:『日本バーベキュー協会』「バーベキューのマナー」
http://www.jbbqa.org/bbq_master/bbq_manner.htm

■道具からそろえたい人には!? 良質で長く使えるものを購入しよう!

――道具からそろえたいという人にアドバイスをお願いします。

下城さん:道具をそろえたいのであれば、以下のものを購入するといいでしょう。

●グリル

食材を焼くための道具。燃料の種類別に「炭用グリル」「ガスグリル」の2種類があります。卓上に置けるものから大きいものまでサイズもさまざま。下城さんによれば、日本製のガスグリルは火力が弱いので、ガスグリルを買うのであれば海外製のものが、炭用グリルでもウェーバー社製などアメリカ製品がおすすめとのこと。

●チムニースターター

炭をおこすのに使う道具。これがあると短時間で簡単に炭おこしが可能です。下城さんによればチムニースターターもアメリカ製のものがよく、使い勝手が全然違うとのこと。

●火消し壺(つぼ)

使用後の炭を入れてふたをし、壺の中を酸欠状態にして火を消す道具。確実に鎮火してくれるので必携。下城さんによれば陶器製のものが絶対におすすめとのこと。

●水鉄砲

肉などを焼いているときに脂が落ち、炎が上がることがありますが、それを消すための道具。下城さんによれば、便利なだけではなく水鉄砲役を指名することで、バーベキューにありがちな「焼いている人以外は手持ち無沙汰」という状況を解消できる、とのこと。

●トング

下城さんによれば、「炭用のトング」「生食材用のトング」「焼き物用のトング」の3本を持っておくとよい、とのこと。

※その他、グリルが炭用のものであれば燃料の炭、ガスグリルであればガスボンベが必要です。

せっかく買うのですから、いずれも品質のいい、長く使えるものを選んでください。具体的に言えば、世界で7割近いシェアを持つ、米ウェーバー社の製品などがいいでしょう。アメリカはバーベキュー文化の生まれた場所で、そのため米製品には長い経験の蓄積があります。造りもよく考えられていて、頑丈で長持ちします。

ホームセンターに行くといろんな製品が並んでいますし、バーゲン製品などもありますが、長く使うことを考えるならしっかりしたものを選ぶのがいいでしょう。

ちなみに日本バーベキュー協会では「チムニースターター」「火消し壺」「水鉄砲」を「バーベキュー三種の神器」と呼んでいます。あると大変便利な道具なので、バーベキューを行う際にはぜひ持っていってください。

■バーベキューの醍醐味(だいごみ)は「人とのつながり」!

――バーベキューの醍醐味とはなんでしょうか?

下城さん:「人とのつながりを深められること」ですね。バーベキューは単なる食事・調理のスタイルのことではありません。「遊びの文化」なのです。

つまり、肉を焼いて食べることに主眼があるのではなくて、集まった人たちが楽しい時間を過ごすことこそがバーベキューの目的です。だからこそアメリカでバーベキューが愛され、文化として根付いているといえます。

アメリカにはいろんな人がいます。その人たちを楽しませ、楽しい時間をできるだけ長く一緒に過ごしてもらう、そのためにバーベキューをするのです。コミュニケーションを深めるための遊び、その一つのスタイルなのです。

■バーベキューのホストは「ミキサー」であれ!

――初心者がバーベキューを楽しむためのコツを教えてください。

下城さん:すごく具体的に言いますと「焼くものばかり持っていかない」ことです。焼いて食べて終わり、という食材ばかり持っていきますと、すごく短時間で終了してしまいます。

前と後ろに焼かなくてもいいものを持っていくべきなのです(上記九則の4を参照)。みんなでちょっとつまめるものがあると落ち着きますよ。焼けるのを待っているとみんな落ち着かなくて、いらんことを言いだしますからね(笑)。

終わりにも焼かなくていいものがあるか、あるいはみんなをもう一度束ねられるものを用意しておくといいですね。「end BBQ(エンド・バーベキュー)」と言うのですが、アメリカの場合にはマシュマロを焼いてみんなで食べます。マシュマロは小さな火で焼けますから、残った炭を真ん中に集めて(mountain fireと呼ぶ)、その火力であぶるのです。

バーベキューってみんながバラバラになっていくことが多いんです。もう食べられないと言って火から離れていくとかね。ですので、終わりにマシュマロのようなものがあると、もう一度みんなで集まって心を近づけることができ、うまく締まるいいバーベキューになります。

――なるほど。

下城さん:ですのでホストは、みんなが盛り上がる「山」をいくつもつくるようにバーベキューをリードしていかないといけません。

――ホストの役割は重要ですね。

下城さん:重要です。アメリカではホストの役割を「mixer(ミキサー)」といいます。集まったみんなをうまく混ぜ合わせるもの、という意味ですね。集まった人をよく見て、「ビールは足りているか?」「焼き加減はどうだ?」「君にあの人を紹介しよう」とか、みんなの心を近づけるように配慮をするのがホストです。ホストのリードがうまくいくとバーベキューは本当に楽しくなります。みなさんもバーベキューをするのであれば、参加者の心がお互いに近づき合うような、いいバーベキューにしてください。

――ありがとうございました。

バーベキューの始め方、醍醐味などをプロに伺いましたがいかがだったでしょうか? バーベキューは単なる食事のスタイルではなく、イベントであり、遊びの一つであり、そして何より「人同士のつながりを深めるもの」であるのです。言われてみると、たしかにバーベキューは実にアメリカらしい文化に思えてきませんか? ぜひみなさんも、集まった人がお互いに親しくなれる、いいバーベキューを楽しんでください。

⇒『日本バーベキュー協会』公式サイト
http://www.jbbqa.org/

(高橋モータース@dcp)