(写真)海上自衛隊輸送艦「おおすみ」=2014年2月、広島県江田島沖

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 海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」(8900トン)が2014年1月15日、瀬戸内海の広島沖で釣り船「とびうお」(5トン未満)に衝突、船長と釣り客ら3人が死傷した事件。衝突直前の「おおすみ」の当直士官らのやり取りを記録した装置に、“衝突の危険”を実感させる「やばい」、「(衝突は)避けられん」などの発言が残されていたことが2日、関係者への取材で分かりました。

 記録装置は、簡易型艦橋音響等情報記録装置で、艦長、航海長などの当直士官らのやり取りを記録します。国交省の船舶事故調査報告書、海自の艦船事故調査報告書には同記録が記載されていますが、一連の発言は記載されていません。

2分以上も前に

 衝突事件の遺族と被害者による国家賠償請求訴訟の弁護団が、海自から同記録装置で記録された音声を取り寄せ、文字起こしによる解析で確認しました。

 問題になる発言は三つ。一つは午前7時57分40秒に記録されている「やばい」。二つは同7時59分06秒の「(衝突は)避けられん」で、三つは同7時59分30秒に再び発せられた「やばい」です。

 「おおすみ」が「はじめて衝突の危険を感じ」(海自事故報告書)た時間が、衝突(午前8時とされている)直前の7時59分37秒から38秒だったとされます。しかし、実際には2分以上も前から「“やばい”と認められる状況になっていた」(弁護団)ことを示しています。

漁船の位置把握

 「おおすみ」の操船ミスを裏付ける発言も確認しました。同艦が「とびうお」の正確な位置と最接近距離を把握し、その直後の午前7時56分30秒に「とびうお」の方位について「わずかに上る」とした発言です。

 海上衝突予防法では相手船の方位が「わずかに上る」ときは、「衝突するおそれがあると判断しなければならない」とあります。この時点で衝突する恐れがあったのです。

 弁護団は5日の口頭弁論での準備書面で告発する予定です。