脳裏にあるのは若手の台頭ではない。日本代表FW本田圭佑(パチューカ)が競い合う“ライバル”は、他人ではなく、あくまで自分自身にあるようだ。「僕はみなさんと少し違った目線でレギュラーを取り返そうと思っている。みなさんが思っている競争とは違う。僕は自分に挑戦している」。熾烈さを増すポジション争いを“本田節”で表現した。

 昨年11月15日のサウジアラビア戦(2-1)、今年3月23日のUAE戦(2-0)、同28日のタイ戦(4-0)と3試合連続でFW久保裕也に右FWの定位置を譲った本田は6月13日のイラク戦(1-1)こそ先発したが、W杯出場を懸けた8月31日のオーストラリア戦(2-0)は再びベンチに座り、FW浅野拓磨が右FWで先発した。本田は最終予選で初の出番なしに終わり、一方で浅野、MF井手口陽介という若手がゴール。最終予選を通じて、久保を含めたリオ五輪世代の台頭が際立った。

 こうした若手の突き上げについては「必然というか、それはサッカー界だけではない。いずれ人は死ぬし、サッカー選手は引退する」と、“自然の摂理”として受け止めている。「僕を含め、何人かの選手、経験ある選手は大事な時期に来ている。自分は自分に目を向けているし、そこの挑戦に勝ちたい。自分自身に勝ちたい」と、あくまで自分自身との闘いであることを強調した。

 来年6月のロシアW杯までに「まだまだ成長できる。すべてにおいてパワーアップしたい」と意気込むが、一方で「ジタバタはしていない」とも言う。「若いころは焦っていた。星稜高校に行ったときは一番焦っていたと思う。でも今はサッカー選手として先が明確に見えている分、焦りもない。ここから劇的に体力が伸びるわけでもないし、成り上がるためのキャリアでもない」。経験を重ねてきたからこそ、余計な力は入っていない。「みなさんで言えば、お金のためだけに働くのか、お金のためだけではないのか。前者は余裕がないから新しいアイデアは生まれない」と持論を展開。集大成への道筋は自身の中でハッキリと見えているようだった。

(取材・文 西山紘平)


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