釣り餌としておなじみのゴカイ(沙蚕)。日本でも中国でも魚の餌に用いられているが、中国当局は北朝鮮産のゴカイの輸入を禁じる措置を取った。対北朝鮮制裁の一環と思われる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

RFAに禁輸情報を伝えた中国の貿易業者は、北朝鮮産のゴカイを1キロ17ドル(約1880円)で輸入してきた。ところが最近、税関当局から北朝鮮産のゴカイの輸入はまかりならぬとの通告を受けたという。

理由は明らかにされなかったようだが、この業者は国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁決議2371号による措置と見ている。

決議は9条で魚、甲殻類、軟体動物、およびその他の全ての形態の水棲無脊椎動物を含む北朝鮮産の海産物の輸入を禁じると定めている。ゴカイは、河口など汽水域の砂地に生息する無脊椎動物に分類されるため、制裁の対象となるという理屈だ。

さらに中国商務省は14日、決議に沿う形で、北朝鮮産の海産物などの輸入を全面禁止した。

北朝鮮では、黄海に面した平安北道(ピョンアンブクト)がゴカイの主な産地だ。

村の人々が海辺で獲ったゴカイは、すべて中国に輸出される。業者は「今回の禁輸令で、朝鮮の村人の生活にも影響が出るだろう」と心配している。

困っているのは、この業者も同じだ。

北朝鮮から輸入したゴカイは韓国に再輸出していたが、物量の確保が困難になっている。代わりに中国産の養殖ゴカイを輸出するしかないのだが、北朝鮮産より3割も高い。事情を知らない韓国の業者からは「ボッタクリだ」と抗議を受けているという。

中国の別の貿易関係者は「ゴカイを海産物に含めて制裁対象にするのはやり過ぎ」「海辺で獲れるだけで、人が食べるものではないのに」と中国当局の厳しすぎる方針に不満を示した。

その一方で、「中国に盾突いてミサイルを撃ち、挑発行為を強行している金正恩政権に対して、中国政府は『けしからん』と怒り心頭だろう」「ゴカイの輸入まで禁止して、国際社会に制裁を徹底して実行しているというメッセージを送る意図があるのだろう」と理解を示した。