二重凍結を米朝に迫る中国の意図とは(写真:Petar Kujundzic/ロイター)

北朝鮮の独裁者、金正恩氏は、米国は「何千倍もの代償」を支払うことになると言い、ドナルド・トランプ米大統領は、「世界が見たことのないような炎と怒り」に北朝鮮は見舞われると警告する。激烈な言葉と軍事的威嚇の応酬が過熱する中、危機を平和的に解決する方法はあるのだろうか。

一部では「二重凍結」がその答えとされる。米韓による合同軍事演習の凍結と引き替えに、北朝鮮は核・ミサイルによる挑発を凍結するという案で、中国が最初に提案し、次いでロシアが支持した。

二重凍結には本質的な欠陥がある

一見、これは理にかなった妥協案のように見える。核・ミサイルの発射実験ができなくなれば、北朝鮮の軍事力は現状に据え置かれる。韓国との合同軍事演習を停止しても、米国の圧倒的な軍事的優位性が揺らぐようには見えない。

だが、米国は中国の提案を一蹴した。すでに国連安保理決議に違反している行動を止めるだけで、北朝鮮が見返りを受けることになるからだ。これは危険な前例となりかねない。

また二重凍結には2つの本質的欠陥がある。1つ目は、協定違反の代償が均等ではないこと。金政権が核開発を再開した結果、本格的な核兵器を持つに至ったら、米韓が被る損失は深刻かつ取り返しのつかないものとなる。

2つ目の欠陥は、協定が守られているかどうか検証が困難なことだ。米韓が合同演習を行っていればすぐにわかる。だが、北朝鮮が水面下で核開発を行っていないことを確かめるのは極めて難しい。

さらに問題なのは、金政権を利する可能性があることだ。凍結期間は、北朝鮮の技術者が核弾頭小型化の技術を習得するための時間稼ぎに利用されかねない。

危機解決の責任をトランプ政権に押しつけた

北朝鮮には、1994年に米朝枠組み合意で核開発凍結を受け入れながら、正恩氏の父、金正日氏がこれを即座に裏切り、秘密裏に核開発を進めた過去がある。米国が同じ手に乗るはずがない。

中国が二重凍結を持ち出したのは、危機解決のためではない。北朝鮮に対して中国が持っている影響力から国際社会の目をそらし、トランプ政権の常軌を逸した外交アプローチへと関心が向かうように仕向けたのだ。米国に決断を迫ることで、危機解決の全責任をトランプ氏に押しつけたのである。