上級者しか知らないようなワインのうんちくを語る男性は、モテない。しかし、ワインが好きな女性ならずとも、聞いたら「へ〜面白い!」と思うネタだってあるのも事実。

ワインを飲んでるときに使えそうな小話、いくつ知ってる?




Q.ワインのうんちくを語る男性って正直女子ウケが良くない!面白いうんちくなんてありませんか?

――う〜ん。

柳「おや、頭を抱えてどうしたの。また二日酔い?」

――あっ、柳さん。二日酔いじゃなくて考えごとです。昨日、女友達と一緒に渋谷のワインバーで飲んでたんですよ。そしたら、隣におじさんが座ってきて、自分が注文したワインをくるくる回しながら、ぶつぶつ呪文を唱えていたんです。あれはなんだったんだろうと思って。

柳「呪文? どんな?」

――キンメがどうとか、マロがどうだとか。

柳「ふ〜む、そのおじさんが飲んでたワインはシャブリじゃない?」

――そうです。私たちが飲んでたのと同じ白ワインでした。なんでわかったんですか?

柳「キンメはキンメリジャン土壌、マロはマロラクティック発酵。土壌の名前と醸造法から察するに、シャブリではないかと……。」

――そのおっさん、さも私たちの気を引かんばかりに呟いてました。

柳「女性の前でワインのうんちくはご法度。中でも土壌ネタと醸造ネタは、相手がワインエキスパート資格の受験者でもないかぎり、禁じ手中の禁じ手だよ。」

――連れはどん引きでしたよ。でもワイン飲んでる時の小ネタに、気の利いたうんちくってないもんですか?

柳「そうさなぁ、無難なところで歴史ネタ。痔に悩む太陽王ルイ14世に、侍医のファゴンがすすめたのはロマネ・コンティだったとか、クープと呼ばれる平たいシャンパングラスは、王妃マリー・アントワネットのおっぱいを型どったものとかね。」

――200年以上も昔の王様や王妃の話なんてピンときませんよ。


さすがセレブ!ワインを愛したスターたちの行動が派手すぎる!




ワインのうんちくなら、セレブネタにせよ


柳「じゃあ、これなんてどう? 南西フランスにマディランというワイン産地があって、そこの優良生産者にアラン・ブリュモンという人物がいる。彼が造るワインの名前は『シャトー・ブスカセ』。」

――まだピンときませんね。

「このワインの大ファンが誰あろう、今公開中の映画『ザ・マミー』で主演を務めるトム・クルーズだ。自家用ジェット機のガルフストリームに乗ってわざわざ買いに来るという逸話がある。」

――素敵! トム様がお好みのワインなら、さぞや甘美なんでしょうね。

柳「それがこのワイン、タナという品種から造られているんだけど、タンニンがその語源とされる品種だけあってめっちゃ渋い。飲み頃を迎えるまで何年も待たなきゃならない。」

――最近のトム様はジャック・リーチャーみたいに渋い親父役も決まってきたから、それもありかも〜。

柳「さらにセレブ関連のワインなら、古くからあるのがフランシス・フォード・コッポラ監督の『イングルヌック』。『ゴッド・ファーザー』で得た富で75年に購入したナパ・ヴァレーのワイナリーだけど、最初はブドウを近隣のワイナリーに売るのが目的で、ワインを造る気などさらさらなかったらしい。」

――フランシス・フォード・コッポラ監督、「地獄の黙示録」も昔観たなあ。

柳「その『地獄の黙示録』の制作費が嵩み、その時の借金を返済するためワイン造りに踏み切ったんだって。最近は娘のソフィアや奥さんのエレノアのほうが映画製作に熱心で、ご本人はワイナリー経営にどっぷりはまってるご様子。」

――才能がある人ってなんでもできちゃうんですね。

柳「フラッグシップの『ルビコン』は、昨年までの5年間、エステート・マネージャーを務めたフィリップ・バスコールのおかげで、素晴らしくエレガントなワインに進化した。」


UKポップスの大御所もワイナリーオーナー!


――ほ〜、ほかにもセレブ所有のワイナリーってありますか?

柳「アンジーとブラピが南仏にもつ『シャトー・ミラヴァル』。昨年の離婚騒動後どうなっちゃうのって心配したけど、ビジネス関係は継続と発表されてひと安心。それから『イル・パラジオ』というイタリアワインは知ってる?」

――ん〜、知りません。

柳「あのスティングがトスカーナ地方に所有するワイナリーさ。バイオダイナミックス農法の大家、アラン・ヨークをコンサルタントに起用するなど、コッポラ監督並みの入れあげよう。ワインの名前はフラッグシップの『シスター・ムーン』をはじめ、彼の楽曲名がつけられている。ありゃ?どうしたの?」

――しくしく。元カレがスティングの大ファンなんです〜。このワイン知ってれば、フラれなかったかも。



たとえば、こんな1本
「イル・パラジオ シスター・ムーン」

ワイナリーのフラッグシップとなるスーパータスカン。「ワインはサイン、指紋、あるいは声のように唯一無二のものでなければならない」とスティング。このシスター・ムーンは、ワインスペクテーターTOP100に選出された。

¥6,800/ジェロボーム TEL:03-5786-3280



教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える